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．
「っす、ゆるちゃん」
この人が
私の頭に置いた手を 無造作に動かして
力の抜けた挨拶をするのは もはや恒例のこと
同時に
フワリ、と微かに鼻を掠める
嗅ぎなれたバニラは
私と同じ銘柄を吸う ヘビースモーカーの証。
『…一服してきたやろ』
「こわ、なんで分かんの、笑」
ごめんごめん、なんて軽い謝罪をした後に
左手に持ったレジ袋から
「ちゃんと買うてきてん、」
コンビニで買ったコーヒーを取り出して
得意気に河野さんに渡す のむさん
河「なに？これ」
「カフェオレ」
河「俺、最近ブラックやねんけど、、」
「あとガムシロ、6入っとる」
河「ろく！？」
遅刻しても
尚、マイペースな彼は
当たり前のように 私の隣の椅子に座りながら
うるさい、だの
ちゃんと気づけや、だの
私越しで 河野さんに ブツブツ文句を言う。
河「人を盾にすんのやめろ！あと ええ加減、予定くらいは覚えてくれんと！」
「いやぁ 俺もそやけど、ゆるちゃんの忘却癖も大概やで。」
河「は？いつもしっかりしてるやんけ。」
出た。
論点をすり替えるのは 彼の常套手段
だから
ある程度、太刀打ちできるくらいには
反論するつもりでいた
のに、
「どうせ、飯食うてないやろ。」
『……』
今回は、そんな余地もなく 惨敗。
『 普通に忘れてた、、』
「な？お前はほっといたら飯抜きよるから、」
『… 気をつけるようにします、』
「分かってくれたらええわ。」
誇らしげな のむさんの表情は
腑に落ちないどころか、腹立たしさすら感じる
でも、
自分のことは覚えられへん癖に
人のことは よう見てて
こうして 気にかけてくれたりするから、
その不器用な優しさが 憎めないのも事実やねん。
「ってことで、��持ちつ持たれつ��。
今後俺が予定分かってないときは、ゆるちゃん頼むで。」
『ぜんぜん 嫌やけど。』
河「お前の持ち分が少なすぎんねん。」
「…今ちょっとええ感じで纏まりそうやったやん！」
『ふざけてないで、仕事してください。』
そう言って、立ち上がった私は
お邪魔しました、 と足早に部屋を去る
そのとき
小さく呟いた 〈ありがとう〉が
彼の耳に届いたかは、わからないけど
扉が閉まる直前に見えた背中は、何となく笑っていた気がした
＿＿＿＿＿＿
迷走
Happy Valentine（masato.k）→←忘却癖（shohei.n）
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なちゅ - はじめまして、楽しく読ませていただいております！リクエストさせていただきたいです、！前回の友保さんのお話が凄く好きだったのでまた書いて頂きたいです！ (8月6日 9時) (
レス) @page27 id: 81dd9b80cd (このIDを非表示/違反報告)
ななし - ゆるちゃん？かわいい名前 (2022年6月12日 15時) (レス) @page2 id: 2a6ffaf908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃけ宮 | 作成日時：2020年11月2日 23時
