牽制（Lily） ページ1
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Lily side
芸人もスタッフも入り交じった
劇場の大きな待機部屋
その端の方で 一息つく
ある女の子を見つけては
構いにいくのが いつからか当たり前になった。
『…おはようございます、 リリーさん』
「もう見なくても わかってるやん。」
部屋の中央にある ガラ空きのソファを
完全に無視して
持ってきたパイプ椅子を、いつも通り
彼女の真横にピッタリとくっつければ
眉を下げながら、彼女が返す。
『そりゃあ、こんなにパーソナルスペースをガン無視してくるの リリーさんくらいなんで』
「え、そんなん言われたら流石に嬉しいな」
『…待ってくださいね。今、この辺りで評判高い耳鼻科を探します。』
一見、塩対応なようにも思えるけど
周りをよく見ている 気遣い屋な彼女は
会話のテンポが 絶妙で
居心地のいい空間を作り出すのが 上手い。
そのせいで
「A！今日、水田の紹介で美味い店行くんやけど 一緒にどうや？」
八重歯の初老に誘われたり、
「ええ感じのバー教えてもらってんけど、お洒落すぎて一人じゃ行かれへんから ゆるちゃん着いて来て〜？」
パーマかけた あざといメガネに口説かれたりと
とにかく人気者で
同じ芸人の中でも 敵が多すぎる。
だから せめて、
これ以上は彼女のことを
気に入る奴が増えないように
なるべく俺が近くにおって 他の芸人を牽制しとる
なんて、
『あ、後ろ。寝癖ついたまんまですよ』
「ゆるちゃんの母性本能を擽る作戦なんやけど、どう？」
『タネ言うたから台無しです、 笑』
誰にでも 分け隔てなく優しいゆるちゃんは
きっと 気づいてないんやろうな。
「なぁ ゆるちゃん」
『なんですか』
「今日このあと、飲みにいこうな」
『あ、今日 濱家さんとの約束が…』
「は？俺の誘い断って、他の男と飲みに行くとか絶対アカンやろ」
『えぇ、そんな無茶苦茶な、、』
一応、連絡してみましょうか？
そう言って、スマホを手に取って
メッセージアプリを起動する ゆるちゃんの先に
濱家さんの 不機嫌な顔が浮かんで、
思わず笑いをこらえる。
『わ、もう返ってきた』
年下やけど、妙に面倒見が良くて
無意識に 俺を甘やかしてくる
あざとい この子
『リリーの全奢りならええよ、って言うてます』
「ゆるちゃんの分だけな。」
誰かに 譲る気にはならんよな。
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なちゅ - はじめまして、楽しく読ませていただいております！リクエストさせていただきたいです、！前回の友保さんのお話が凄く好きだったのでまた書いて頂きたいです！ (8月6日 9時) (
レス) @page27 id: 81dd9b80cd (このIDを非表示/違反報告)
ななし - ゆるちゃん？かわいい名前 (2022年6月12日 15時) (レス) @page2 id: 2a6ffaf908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃけ宮 | 作成日時：2020年11月2日 23時
