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『ねぇ!』
思わず大きい声を出しながら 涼太のスーツを両手で掴んだ。
「これから 京都行くから今から帰って荷物とか取ってきて」
『いやいやいやいや、私の話聞かんかい』
勝手に決められた主張。
勝手に予定を決めていく涼太。
ましてや、涼太と同じなんて…。
そんな思いが行動に出て 両手で掴んでいたスーツを前後に揺らす。
「なんだよ、やめろって」
『私…やだよ!』
「しょうがねぇじゃん。あの頑固上司が言ってんだからよ」
あのくっそ上司め
そう思ったのはこれが初めてではないけれど
部下の私が何を言おうと決まってしまったことはしょうがない。
言われたとおりにさっき立ち上げたばっかのパソコンを閉じに
スーツをパッと離して
莉乃ちゃんの隣までズシズシと歩く。
「…行っちゃうんですか?」
うるうるした瞳が私を上目使いで見ている…
そう思うと
子犬を買っている飼い主の気持ちになっちゃうわけで
五分ぐらい莉乃ちゃんにベタベタしちゃった。
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LINEで “ 14時に会社前 ” そう涼太からの連絡にスタンプで応えた
ちょうど指定された時間ぴったしについたら
涼太はもう来ていた。
『ごめん遅かった?』
「…やっときた〜 タクシーきてるから行くよ」
やっときた〜 って指定された時間には間に合ってるのに…
このクソ犬が って心で悪態をつくけれど
知らない間に私の荷物を持っていてくれたことに気が付き
少しキュンとした。
今日から3日間。大丈夫…かな……。
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作者名:cocoa | 作成日時:2018年3月16日 9時