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馬車に乗り込むと
見送る父様母様、リョウガお兄様を
背中にゆっくりと動き出す









ユースケと出会ったのも
こんなよく晴れた日だったっけ









きちんと化粧してもらって
素敵なドレスまで着せてもらって
少しは可愛くなったはずなのに







もうこのまま一生会えないのかな









……ガラガラ……ガタン









あの日とは違ってゆっくり

けれど突然止まる馬車









《よろしいですか》









馬を操っていたカイが降りて
控えめに扉を開く







「…どうしたの?」









《緑の国にはあまり花が咲かないと
聞きました。ここは1つ折角ですから
花束でも贈り物としませんか?》









馬車が止まっていたのは
淡い黄色い看板の
小さな花屋の前








「でもここは…」







《姫様、行っておいで》








暖かい手に背中を押されて
花屋の扉のベルが鳴る







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作者名:リリウム | 作成日時:2017年5月19日 21時

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