中学生8 ページ9
夏のパフォーマンス大会に出場
見事にブレイクダンスで優勝を掴み県大会へ
そんな大事な時期に僕は
貴「…」
骨折をしてしまった
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
貴「朝日、ぜっこーちょー？ねぇねぇ？」
朝「くっそお前に負けたのに絶好調もねぇよ」
ダンス練習の生放送、朝晴と二人でパフォーマンス勝負をしているとガチャっと扉が開く
…何故着ぐるみ？
背丈であの子だって分かるけど…
貴「着ぐるみくんじゃ〜ん。すっごいヨタヨタしてるけどあんよできないでちゅか〜？」
フラッと後ろ向きに傾くのを目の端で捉え、
思わず庇うように飛び込み、抱え込んだが
その際に…
ゴンッ
自分の右肘を床に直で強打させた挙句、後輩くんの重みに潰されて嫌な音を奏でた
高いような、鈍いような
鈍痛がじわじわと肘を麻痺させていく
思わずうずくまり声を押し殺す姿にチャットではコメントが炎上する
咄嗟の判断で朝晴が別れの挨拶をして生放送を切る
朝「おいッ大丈夫か！？」
いつもだったら出てくる生意気なワードも
今になっては真っ白な状態
すぐさま退いて頭を外した着ぐるみくんの中の人が
必死に泣きそうな声で謝ってくる
その後、人生初の救急車に乗る羽目になり
そして今に至る
一緒に乗り込んできた後輩くんはずっと泣いている
別に着ぐるみ着させた僕と朝晴が悪いと思うけどなぁ。…ま、無事そうで良かった
貴「…月島くん、別に君のせいじゃないよ」
月「せんぱ、い…大会…控えてた…の、に…っ」
こんなに泣き虫だったかしら？
ぽんぽんっと頭を撫でると尚更涙を流した
利き手が壊れるとは思ってなかったな…
全治約一ヶ月。
当然大会には間に合わない
貴「…最後の大会、儚いねえ」
三年にして中学校生活最後の大会。
それを僕は怪我で終えようとしているのだ
準優勝だった朝晴が代理で行くことになる
悔しいな
でも僕が泣いたところでなぁんにも変わらない
この子が余計泣くことになるだけ
貴「治るまでさ、お弁当食べさせてよ。
それなら許してあげる」
そう言うと涙をぬぐい、キッとした真剣な表情で
僕を見つめた
…月島くんの瞳に自分が映り込んだ
月「いつでも側にいます。先輩を守ります。
側にいさせてください…」
そう言って僕が寝そべっている病院のベッドに
再び涙の染みを作った
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