第３３章「正当防衛」 ページ33
ようやく私の声が届いた
殺意が少しずつ収まっていくかのように
あたりの空気は良くなっていった
貴「…インラードさんは私のコレをみて正気を失ってしまいました。容易に見られてしまう私もいけないとは思いますが貴方も貴方です。」
言い切ると「うぐ」と図星を突けたようだ
貴「こ、こ、今回は許しますけどもうやめてくださいね！？」
昨晩のことを思い出し、取り乱す私にフェリーチェさんはしょぼんっとした表情で「はい…」と素直に返事をした
そして事件を終えることとなった…
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時は過ぎてとある街並を偵察中
エルンドさんと歩いているとチラチラと彼女を
見る男の方が多い
…自分のソレと彼女のソレを見比べて私は小さくため息をついた。
イシス「良い天気ねぇ〜」
のんびりとした口調で私に声をかけてくれる
…こんな人が人を殺しているようには思えない
エルンドさんに限らずあそこの人達は皆優しい
…どうして、人を殺すのだろう。
しかし私も人を殺めてしまった
同類になってしまったのだろうか
同族嫌悪のような難しい感情に苛まれる
こんな自分が嫌いだ。
イシス「…あらぁ、何かしら？」
その言葉に反応して俯いていた顔を上げると
何やら人だかりが出来ていて二人で隙間から覗くと
そこには惨殺された死体が…
思わず口元を抑えてエルンドさんの後ろに隠れるように動く
それに気付いたエルンドさんは私を庇うように
前に立ってくれた
「黒の仕業だ」
「黒が現れた」
…私達のことだ
私達はやっていない。
こんな、無実な人…殺していない！！
感極まった感情が溢れそうになったがエルンドさんが落ち着かせてくれたのもあり、少しずつそれは収まっていく
その時、どこか見覚えのある影を見つけた
…御影、さん…？
確かにあの人だった。
どうしてこの場にいたのだろうか？
…最悪な状況が目に浮かぶ
まさか、ね
そう思いながら私は彼の歩いて行った細道に駆け出した
エルンドさんにはこっそりと内緒で…
細道に入り路地裏を駆け巡る
あれ、こっちに来たはずなのに…
そう思った瞬間、誰かに口を押さえられた
思わず暴れようとすると耳元でそれは囁いた
「静かに」
…！御影さん
そう思うとバクバクと叩きつけるような鼓動は
和らいでいくのが分かった
続く
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