七人の殺人鬼 (ページ30)

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第３０章「フェロモン」ページ30

貴「っ凄く手が熱いですよ、熱があるんですか？」

私の質問に対して聞こえていないように
普段とは違う大人びた色気を漂わせてフェリーチェさんは私の首元に口を近づけた

乱れた吐息が首を掠めて思わず身をビクッと震わせた

カナタ「すごく美味しそう…」

ペロッと舌先で首を舐められ反射で高い声が口から漏れるように出てきた

その様子をみて満足そうに体を少し起こして
舌舐めずりをした

カナタ「第一、男の部屋に女一人で来るだなんて
襲ってくれと言ってるもんだろう？」

…いつもどこを見ているのかわからない目の焦点が
一般的に戻っており、瞳は私を映していた

貴「ふぇ、フェリーチェさん…っ」

カナタ「恥ずかしがる姿も可愛いよ、大丈夫。
痛くしないからさ…そのまま身を預けて」

耳元で囁かれゾワっと背筋に何かが走る

胸の動悸もこの匂いの所為だと気付いているのに
体が言うことを聞かない

普段からは想像もできない言葉遣いや態度に
変に体が強張る

首に吸い付かれ、ちゅっと音を立てて離される

顔が熱い、前世だってこんな目にあったことはない
恥ずかしさと怖さで体が震える

カナタ「怖くないよ、優しくしてあげる」

熱い手のひらがスルッと服の中に入った時
やっとの思いで近くにあるサイドテールの上に置いてあった桶を掴み

貴「ぁ…頭冷やしてくださいッッ！！」

と思いっきりフェリーチェさんの顔面に叩きつけた

すると糸が切れたかのようにパタッと私の横に倒れ込みスヤスヤと寝息を立てた

抜けかけた腰に鞭を打つようにしてベッドから降りてフェリーチェさんをベッドの中心に寝かせ、布団をかけた後にもう一つ水の入った桶にタオルを入れて絞った物を額の上にのせて

足早に部屋を出てから鍵を全て掛け直して
ノフさんのところへ逃げ出した

私の様子をみたノフさんは「やっぱりか」と言いたげな表情で鍵を受け取り部屋で休むよう指示をした

素直に従い、自分の部屋に戻りたまたま衣装鏡に映った自分に驚愕した

…首元に赤い痕がくっきりとつけられていた

その後は布団に身を包み気持ちが落ち着くまで
部屋に引きこもっていた

次の朝

カナタ「ノフくんおはよ～」

ロウ「おう」

ちょうど食卓に向かう途中で二人と鉢合わせてしまい昨日のことが蘇り恥ずかしさで挨拶をした後にそさくさと逃げるように向かった

ロウ「なんだアイツ…」

カナタ「…」

頬を赤らめるフェリーチェの姿があったとは知らずに