バグ4 ページ4
『あの怪物と同じ顔なのが嫌いだから。母さんに酷いことをしたあの怪物とッ！』
「怪物…あの様な場面を見てしまってはどっちが怪物か分からないがな。」
こいつになにがわかるの？…僕の何が…ッ！
『黙れ！お前だってあいつらと同じ目に合わせるぞ！お前に僕の何がわかる！！』
「…」
僕が武器を博士の喉に構えても彼は驚きもせずただ無言と仮面越しに僕を見つめるだけだった。
『…』
「…」
その状態が何分続いたのだろう。
そんな時女性の声が聞こえてきた。しかも、部屋の外でもなく扉越しでもない。
僕の後ろから…
「博士は、何か拾って来たと道化から聞きましたけど、ふふっ博士牙を剥かれてますね。」
「…“少女”か。」
少女と呼ばれたのその女は足元にまである長い髪を揺らしながらこちらに近づいて来た。
「ん？…綺麗な顔立ちですね。本当に怪物と同じ顔なのですか？」
そう言いながら僕の頬に触れたその手は、氷の様に冷たく、だが何故か振り払えなかった。
いいや、母さんの様に落ち着くわけじゃない、かと言って好きでもない。
だけど何故かこの女を振り払うことを体が、いいや僕の意思が拒否している。一体なんなんだ？
「何か、嫌な思い出があるのでしょう。紅茶を持って来ましたしお菓子もあります。よければ話をお聞かせくれませんか？」
そう言いながらその女は優しく微笑みソファに座った。
『別にお前に話すことなんかない。』
「その様な事は言わずほら、お座りください。」
どうやら冷たく言ってもこの人には無意味な様だ…。全くまるで美智子さんみたいにお人好しの様だ。
仕方なくソファに座る。
「それで，貴方の今までの生活を説明してくれませんか？」
は？一から！！？
「私も興味があるところだ。聞かせてもらおうか。イタカ話してみろ。」
なんだこの2人は…どうせ話したって…、いいや。話した方が荘園への戻り方が見つけやすいのか？
そうだ、そうしょう。じゃないと母さんを助けれない。
母さんは今も苦しんでる。僕が助けないと、守らないと…。
そう決め僕は暖かい紅茶に手を伸ばし一口飲む。
不思議と体全体が暖まっている気がした。
こうして僕は、自分のことを話し始めた。
『僕は…』
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作者名：ミミズクの耳 | 作成日時：2024年2月7日 0時
