俺/私たちは許嫁同士…のはずだよね？ (ページ29)

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有人にいさん！ページ29

○鬼道家別荘の門

7月某日。一之宮家の自家用車は一戸の屋敷の門前に止まった。

『有人にいさん！！』

「月奈」

　車から出た月奈はドレッドヘアーにゴーグルがトレードマークの鬼道有人の元に駆けつけた。鬼道は微笑みながら月奈の頭に手を置く。

鬼「大きくなったな。」

『はい！月奈、有人にいさんにお会いできるの楽しみにしてました！！』

鬼「ふっ、俺も楽しみにしていたぞ。さぁ、中に入ろう。義父さんも待ってる。」

『オジ様もきてらっしゃるの！』

わぁっと笑顔になる月奈の背中に手をおいて誘導するように建物の中に入る。

「月奈くん！元気だったかい？」

『鬼道のおじさま！！』

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そしてテラスでお茶を飲んでいる鬼道一家と月奈。

「そういえば月奈くん。噂をすれば吉良財閥の御子息とお付き合いをしているそうじゃないか。」

その言葉を聞くと、月奈は口に運ぼうとしていた紅茶のカップの動きを止める。鬼道はその様子を見逃さなかった。

鬼「(月奈？)」

そして月奈は何もなかったかのように笑顔になり、

『はい、彼とは仲良くさせてもらっています。』

　うふふっと笑う月奈を鬼道は黙り込みながら見つめる。彼女はなにを無理して話しているのだろう…と。