縁談 ページ2
縁談の日、
その日ヒロトはいつものアクセサリーを外し、タトゥーシールもない状態で用意されたスーツを着用した。場所は縁談相手の住居である一之宮邸で行われるそうだ。
ヒ「……なぁ、相手ってどんなヤツなの？」
「父さんの古くからの知人の娘だ。」
そういうことじゃなくて…
「容姿端麗、成績優秀なお嬢さんだと聞いている。
だが……」
ヒ「だが…なんだよ。」
「いや、なんでもない。」
なんだ？気になるじゃねえか。気にしているうちに車が停車した。一之宮と達筆で書かれた表札。おそらく此処が縁談相手の家だ。建物は吉良家とは違う和式の建築物だった。
ヒ「でっけー、武士屋敷かよ。」
建物に見惚れていると、召使いらしき男が出てきた。
「吉良様ですね、お待ちしておりました。」
男は俺と親父を客室まで案内する。客室の戸を開けると、龍の絵が描かれた掛け軸と桔梗の花がある部屋。
「こちらでお待ちください、御当主様とお嬢様を呼んで参りますので…」
男はそう言って部屋を出て行った。
しかし、これから30分以上も正座をしないといけないのか……もう足はビリビリと痺れている。
しばらくして戸が開き、袴を着た男が入ってきた。
その後ろに着いてきたのは、黒髪に前髪をしっかり揃え、白に花模様の着物を着た俺と同じぐらいの女だった。
女は気の強そうな目をしており、いかにも真面目そうな性格をしていた。あまり俺のタイプじゃねぇな。
親父には悪いが、この縁談…時間の無駄になりそうだぜ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャーベット | 作成日時：2021年6月21日 2時
