その青年、後ろめたい ページ6
side change
Aがいなくなってから、数週間が経とうとしていた。俺らは毎日手分けして探していたが何一つとして有力な情報を得ることは出来なかった。
そんなある日、俺らはとある人に拾われた。その人は家…というか、孤児院を作るらしい。
その孤児院に君達も是非と言われた。孤児院で暮らすことに抵抗はない……けど__
「Aの事が心配なんだろう?」
他の奴らは孤児院に行くと答えを出した中、ただ一人出せなかった俺を見かねて彼女は言った。孤児院はここから大分距離がある。Aが帰るまで待ったって、その後に孤児院へ行くことは出来ないし、ましてや孤児院からちょくちょくこっちに来てAを探すなんてことは出来ない。
「…当たり前だろ。もし、ここに帰ってきて俺らがいなかったら……」
「これだけ、探しても居ないんだ。ということはもうAは……」
「何でそんなこと言うんだよっ!!」
その後に続く言葉がわかった俺は思わずそう叫んだ。普段大声を出さない俺だからか、みんな驚いている。
「どうして…俺らは家族だろ……」
「よく考えてみろ。このままAの帰りを待って今までの生活を続けるか…孤児院に入って新しく生活を始めるのか……どっちが自分にとっての幸せなのか」
そんなの……そんなの……っ
「……どうするんだい?」
「………ごめん、A」
そんな俺の呟きは誰にも聞かれることはなく、雨の音によってかき消されていった……
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作者名:のあっち | 作成日時:2017年12月19日 23時