【黒執事】失われしもの (ページ32)

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その青年、気に食わないページ32

「私兵…だと？」

「ファントムハイヴは女王の憂いを無きものにするためだけに存在する影ﾌｧﾝﾄﾑ。その巣窟に足を踏み入れれば、光ある場所には二度と戻れない」

「あいつらだってプロだ。そう簡単に」

「こ信じるのご自由ですが、私が選んだ人材だという事をお忘れなく」

「くっ…
俺達は、どうすりゃよかったんかなぁ。笛吹の息子トム(ﾅｰｻﾘｰ·ﾗｲﾑ)みたいに、吹ける曲はひとつだけで…。でももし…もし生まれたのがこの国じゃなかったら。自分が身体が、こうじゃなかったら…こんなっ…」

「みんなの兄貴分が、泣くんじゃねぇよ」

「泣いたって変わらない。いつだって世界は誰にも優しくない」

「A…スマイル…」

「僕の名前はシエル·ファントムハイヴ。その一つだけだ」

その時、扉の開く音がした。

「追加おまちどうさま。あれ？」

「貴方は」

開いた扉から入ってきたのは先生だった。

「ブラックにスマイル。ああ、そうか。ジョーカーが言ってたことは本当だったワケか。お金でどうにもならない分、警察よりタチが悪いと噂の女王の番犬君」

「先生…あんた足…歩けて…」

「足？ああ僕本当はなんでもないんだ。君達みたいな子はああしてた方が警戒されないから座ってただけ
あ。ケルヴィン男爵！？」

最初からどこか気に食わないと思っていたけど、やっぱりコイツは＿＿