【黒執事】失われしもの (ページ18)

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その青年、吃驚ページ18

「そして最後は！サーカスの花形猛獣使いのお出ましどすえ」

俺が歌い終わり退場するのと同時にビーストが登壇。

「このショーにはお客はんも参加してもらいたいんどすが…」

ジョーカーがそう言うと、客席の方で黒い燕尾服を纏った男性が立ち上がる。

「あれは……」

ヴァイオリンを片付け終わったレオンがソイツを凝視する。
ちなみに、レオンは俺が歌を歌う時にヴァイオリンで伴奏を弾いている。それ以外は壇上に上がらない。何でも出来るのに勿体無い。

「えろうヤル気満々の燕尾服のあんさん！！どーぞ壇上へ！」

アイツは、レオンと同じ匂いがする。つまり……

「「……悪魔」」

レオンと声が重なる。悪魔がここにいるという事は悪魔と契約をしている者が会場内にいるということか。

「さぁこちらへおいでやす！
じゃあ、あんさんはこっちで寝そべってくれはりますか？」

そんなジョーカーの言葉を無視して悪魔は虎ﾍﾞﾃｨの元へと歩いて行く。

「嗚呼…何というつぶらな瞳…」

「…は？」

なんだアイツ、ただの変態か？

「見た事も無い鮮やかな縞模様。柔らかい耳。とても愛らしい。おや？少々爪が伸び過ぎている様ですね。お手入れをしなくては…肉球もふくよかで、とても魅力的ですよ」

そのすぐ後だった。ベティが悪魔の頭に噛み付いたのは。

「あ」

会場内に悲鳴が響く。

「ベティ！！そいつを離しな！！」

ビーストはそう言って鞭を振り下ろすが、それを悪魔は素手で掴む。

「彼女に罪はありませんよ。あまりの愛らしさに私が思わず失礼をしてしまっただけ…それに、むやみに鞭を振るうだけでは、躾は出来ませんよ」

再び悪魔に噛み付くベティ。何だよ、これ、漫才か？

「ベティ！！ペッしなペッッッ！！！」

「おやおや。おてんばさんですねぇ」

その場で俺とレオンは確信した。あの悪魔は変態だ。

✄--------------- ｷﾘﾄﾘ ---------------✄
いやぁ、前回文字数で書けなかったのですが…A君は成長して、タイトルが少年から青年に。一人称が僕から俺に変わりました。気付きましたかね？
あと前話で話していた26巻で出てきた設定ちゃんと入れることにします、はい。ちょくちょくネタバレ要素入るかもなのでお気をつけ下さい。