その少年、居場所 ページ14
「ジョーカー！アンタ一体どこに……っ！」
「ちょっとな〜」
「アンタねーっ！………って、え？」
ジョーカーに近付いてきた今はビースト…だったか。ビーストは僕を視界に捉えて目を見開く。
「A……？」
「えっと…久しぶり…」
「本当にAなのかい！？」
ビーストの声にみんなが反応して寄ってくる。
「A…兄さん……」
「A……」
口々に僕の名を呼ぶみんな。
「ほらな」
「え？」
「忘れてなかっただろ？」
「……ああ」
そして、やっぱりみんな気になるのかレオンをチラチラと見る。
「みんなに紹介するよ、コイツは」
さっきジョーカーにした時と同じようにみんなにレオンを紹介した。
「じゃあ、僕はもうこれで」
「え？」
「え？」
思わずジョーカーと同じ言葉を返す。いや、なんでそんなに驚いてるんだ？
「どこに行くんだ？」
「どこにって……屋敷？」
「屋敷……そうか、貴族様だもんな…」
そう言ったっきり黙り込むジョーカー。
「なあ、A。
無理なお願いだってのは分かってる。けど……俺らとやらないか？サーカス」
「でも僕、何も出来ないし。それに…」
＿＿みんなに迷惑をかけるかもしれない。
「Aはマジックが得意だろ？それに、演目の切り替えの時なんかに歌ってくれればお客さんも飽きることはないし」
「……」
「それに、迷惑をかけるのが家族、だろ？」
笑顔でそう言ったジョーカー。そんな誘いを僕が断る理由はなかった。
「……僕で良ければ」
ごめんなシエル。お前を見つけるまで、まだまだ時間がかかりそうだ。僕の居場所はここなんだ。
「そうだA。これだけは約束してくれ」
さっきまでの笑顔はどこへやら。急に真剣な顔になるジョーカー。
「もう俺の前から消えるな……っ」
ジョーカーは苦しそうに、そう言ったのだった
✄--------------- ｷ ﾘ ﾄ ﾘ ---------------✄
はい、前話ですでに明らかになっていましたがA君は、ファントムハイヴ家の長男·つまりシエルのお兄様でした〜わーい()
恐らくこれが年内最後の更新になるかと！来年もよろしくお願い致します〜っ！皆様、良いお年を！
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作者名：のあっち | 作成日時：2017年12月19日 23時
