憑依少女Ⅱ (ページ19)

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お盆にコップを2つ置いて、平手が座るテーブルに持って行く。

コップを差し出してから改めて平手を見ると、平手は目を伏せて少し切なそうな顔をしていた。

「 ·····どうかした？」

平「 ········ 」

平手は顔を上げて口を開いたかと思ったら、また口を閉じて顔を俯かせる。

「平手·····？」

平「瀬尾はさ、私がセンターってどう思う？」

「 ·····ん～·····。やっぱりプレッシャーヤバいだろうなって傍で見てて思う。
でも、センターを任せられる程の表現力も平手にはあるんだろうなってなるし·····。」

まだデビューして間もないけど、欅坂46というグループ自体も、そのセンターの平手友梨奈という存在も話題になっている。

そのぐらい彼女には実力がある。
せかあいのMV撮影を見てそう思った。

「でも····· 」

平「でも·····？」

「やっぱり、1番前に立つって怖いよね。
平手に比べたら全くだけど、カタミラでセンターやってみて凄い怖かった。同調の言葉っぽくてごめんね」

平手は微笑むとゆっくり首を横に振った。

平「皆頑張ってるのを見てきてる。だから私が2連続でセンター任せられた事に不安なの·····。」

「 ······ 」

平「私で本当にいいのかな······。」

選抜の時に " 私でいいのかな " と言っていた平手。

きっと、皆は平手だから任せられると言う。
実際に私もそう思ってる。

·····でも、平手はそれに納得していない。

平「だからね、さっき瀬尾が " 怖いよね " って言ってくれて嬉しかった」

「え·····？」

平「瀬尾もセンターに立っているからこそ、それ言われて嬉しかった。同調の言葉だなんて思ってないよ。·····ありがとう」

平手の " ありがとう " には、
自然と重みを感じた。

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