憑依少女Ⅷ (ページ49)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:93,306 hit

◯ ページ49

.

思わず目を見開く。

こんな事件に巻き込まれて、トラウマになって普通辞めてもおかしくないのに。

"「 ···好きだから、辞めたくない」"

本当にこの子は＿＿＿、

強くて脆い。儚い子＿＿＿。

"「きっと皆にも迷惑かかってるよね。本当にごめんなさい」"

なんで、なんで貴方が謝るの。

貴方は悪くない。謝らなくていいのに＿＿＿。

"「私のせいで声優のイメージ落ちているし、絶対に消えた方がいいけど····· 」"

井「瀬尾っ·····！」

"「でも、続けていたい。」"

自分を責める言葉を言い続ける瀬尾に我慢が出来なくて声が思わず出た瞬間、瀬尾の心の声に口を止めた。

井「 ·····うん·····。じゃあ辞めないで····· 」

"「笑」"

やっと聞けた瀬尾の笑い声。

" 辞める " って言うならその選択を止めなかった。

けど " 辞めたくない " って瀬尾の意思。
瀬尾が選んだその道こそ止めたくなかった。

"「ご飯食べに行きたい」"

井「何が食べたい？」

"「んー·····、お肉笑」"

井「笑」

チラッと皆を見ると、私が笑っている表情を見て少し安心したような顔つきになった。

今は、今だけは普通になっていいよ。

優しすぎる貴方は沢山抱え込んでいるから。

その小さな背中で沢山の重い物を背負っているから。

だから、全部今だけ忘れて大丈夫だよ。

だってまだ18歳の女の子なんだから。

" 自分はダメなやつだ " って、そう自分を責め続ける

怪我も沢山している。私達が見てない所で。

私達は瀬尾に自分を愛してほしいんだよ＿＿＿。

儚すぎて、目を少しでも逸らしたらこの世界から本当に消えてしまいそうな貴方に＿＿＿。

.