憑依少女Ⅷ (ページ44)

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心ページ44

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や「ごめんね平手。瀬尾今は誰にも会いたくないらしくて····· 」

瀬尾がいる部屋の扉の前でやっさんが静かに呟く。

あの事件が起こり、メンバーも恐怖で泣いている子や呆然としている子が沢山いた。

今はそれぞれ落ち着いてきて、楽屋じゃなく別室で休みを取っている。

瀬尾への心配とさっきの事件への恐怖。

ナイフが目の前で振りかざされ、あともう少しの所でナイフに刺されそうになった瀬尾の恐怖は、考えたくても考えられない。

平「じゃあ、これ。瀬尾に渡しておいてほしい····· 」

や「うん。分かった。」

やっさんは私から瀬尾にあげる為に買ったココアを受け取った。

それから私もゆっくりやっさんから背を向けて別方向へと歩き出した。

私自身も部屋に戻って皆に会う気がしなくて、本来曲がるはずの角を無視してもう少し離れた角で曲がった

犯人がどういうつもりであの行動を取ったのかは分からない

ただ、あの犯人への怒りと恐怖がフツフツと生まれる。

どんな理由であれ、瀬尾を傷つけていいはずがない。

壁に背を預けて息を吐く。

いつも私が不安な時、恐怖を感じている時、
瀬尾がそばに居てくれた。

でも私はどうだろう。

何も出来ていない。そばにも居てあげられない。

初期から支えてくれている瀬尾に何も恩返しが出来ていない自分が嫌になってくる。

今日の朝に見た瀬尾の笑顔を思い出してから、再び小さく静かに息を吐いた。

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