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「バスケ部〜、手上げて!」
ユウヤの声に数人が手を上げて、一番近くに座っていた男子が指名される。
そいつ相手に、パスの出し方やらシュートを打つコツやらを説明するユウヤ。
どう見ても女子たちはバスケのことなんかよりもカッコいいユウヤに夢中で、俺はモヤモヤしてしまう。
ただ座っていただけなのにすっかり疲れてしまった俺は、授業終了号令と同時に体育館を出ていくユウヤの後をよたよたと追った。
「失礼します...、」
一応職員室のドアをノックして、ユウヤにの机に向かう。
「おー伊野尾くん。早かったね。」
「は、はい。」
「飯食いながら話そうか?」
「そう、したいです。」
お腹は空いているし、そのほうが変に気不味くならないだろう。
「じゃあ、弁当持っといで。そうだなー。屋上なら人いないかな。」
「高木先生、伊野尾なんかやらかしたんですか?」
「やめてくださいよ有岡先生。ちょっと大事な話があるだけです。彼はとってもいい子ですよ〜」
「あ、そうですか。ついに伊野尾の化けの皮が剥がれたかと思ったのになぁ」
「ちょっと有岡先生、俺化けの皮かぶってないです...」
「ははは、冗談だよ〜。いってらっしゃい!」
ユウヤの机と、有岡先生の机は隣。
二人だって出会ってそんなに時間は経っていないはずなのに、もう冗談を言い合うような仲になったのか。
また、モヤモヤした気分になってしまった。
だけど、このあとはユウヤと屋上で二人でお昼。
少しドキドキするけれど、再会してからまともに話すのははじめてだし、正直言って話したいことだらけだ。
階段を髪の毛を気にしながら駆け上がって、急いでお弁当を取りに行く。
「薮ごめんね!俺、なんか高木先生に呼び出されちゃって...行ってくるわ〜。」
「伊野尾、なんか怒られるようなことしたのか?」
「してないよ〜。なんだろ。わかんないや、」
「ふ〜ん、」
適当に誤魔化して、さらに階段を登る。
めったに開けない屋上へ続く重たいドアを押し、ユウヤの背中に声をかけた。
「おまたせ。」
「タメ口かよ〜。ま、今はいいけど。」
こちらを向くこともなく、ユウヤは笑った。
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KIYT(プロフ) - ooota12さん» ありがとうございます!頑張って続き更新しますのでもう少しお待ちくださいー汗 (2018年12月31日 12時) (レス) id: 0c03163960 (このIDを非表示/違反報告)
ooota12(プロフ) - 高校生と先生、いいです!ドキドキしてます。続きを楽しみにしてますね。 (2018年12月30日 20時) (レス) id: a48d1d7bc4 (このIDを非表示/違反報告)
KIYT(プロフ) - ooota12さん» 嬉しいですーー(>_<)薮くんのソロは本当に大好きで...上手くかけてたかな、??まだまだ頑張ります♪ (2018年12月3日 5時) (レス) id: 6f6e981d78 (このIDを非表示/違反報告)
ooota12(プロフ) - 涙が。。薮ちゃんが歌ったこの曲で本当に泣けてきたところなんだけど切なくてとってもきゅんとくるお話でした。KITYさんの情景描写が上手すぎです。 (2018年12月3日 1時) (レス) id: a48d1d7bc4 (このIDを非表示/違反報告)
KIYT(プロフ) - いつもありがとうございます!知念ちゃんは何歳になっても可愛くいてほしいね♪ (2018年11月30日 19時) (レス) id: 6e2f3196d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KIYT | 作成日時:2018年11月30日 5時