アオムラサキ。(tk×in ページ19
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全く面白くない現代文の授業中。
黒板に書かれていく日本語の羅列など、何も頭に入ってこない。
黒板の方に顔を向けつつ、遠くを見つめながら、左耳にそっと触れた。
すっかり癖になってしまったその動作。
少し伸ばしすぎてしまった爪が、耳たぶでカチリと鳴った。
そうやってボーッとしたまま、今日も一日が終わる。
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男子からも女子からも「可愛い」と好評のきのこカット。
まあるくふわふわにに見えるよう、割とこだわって毎朝きちんとセットしている。
普段の生活から体育の授業まで、俺はできるだけ髪型を乱さないように過ごしている。
特に、髪の毛から耳が見えてしまったりしないように。
...と言っても、俺が隠したいのは左耳だけであって、気分転換に右耳には髪の毛をかけたりもしている。
そう。
俺の左耳には青紫のピアスがついている。
そこそこ優秀と地元では有名な高校に入ったばっかりに、ピアスは校則で禁止されている。
それでも、俺にはそのピアスをずっと身につけていたい理由があった。
思い切ってピアスをあけたのは中学2年生の頃。
とある小さな石を、どうしたらなくさずに済むかと考えた結果、ピアスにして身につけておこうという結論になった。
つまり俺のきのこヘアーは、ピアスのついた耳を隠すためのものであり、中2の頃から継続されてきたわけだ。
その青紫の石は、もともとただの石ころだった。
偶然俺の目についた、ちょっとキレイな石。
俺が今持っているのと、もう少し大きいのと2つ、コロンと道端に転がっていた。
それを拾ったのは、小学校5,6年の頃だった。
当時俺は、7歳年上のユウヤとよく遊んでいた。
家が近くで、俺が生まれたときから相手をしてくれていたらしい。
俺がその石を拾った時、ユウヤは既に高校生だったが、俺のことを可愛がってくれていた。
その日も確か、ユウヤと遊んでいた。
帰り道、夕日を反射して光った足元をよく見ると、石ころが2つ落ちていた。
拾い上げてユウヤに渡せば、俺の家の庭のホースの水できれいに洗ってくれた。
薄汚れていた石は、青紫色にキラキラと輝いていて綺麗だった。
「ほら、ケイ。」
「わぁ!ありがとう、」
ユウヤは2つとも、俺の手のひらに石をそっと置いてくれた。
「じゃあな、」
そう言って帰ろうとしたユウヤを俺は呼び止めて、大きい方をユウヤの手のひらに乗っけた。
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KIYT(プロフ) - ooota12さん» ありがとうございます!頑張って続き更新しますのでもう少しお待ちくださいー汗 (2018年12月31日 12時) (レス) id: 0c03163960 (このIDを非表示/違反報告)
ooota12(プロフ) - 高校生と先生、いいです!ドキドキしてます。続きを楽しみにしてますね。 (2018年12月30日 20時) (レス) id: a48d1d7bc4 (このIDを非表示/違反報告)
KIYT(プロフ) - ooota12さん» 嬉しいですーー(>_<)薮くんのソロは本当に大好きで...上手くかけてたかな、??まだまだ頑張ります♪ (2018年12月3日 5時) (レス) id: 6f6e981d78 (このIDを非表示/違反報告)
ooota12(プロフ) - 涙が。。薮ちゃんが歌ったこの曲で本当に泣けてきたところなんだけど切なくてとってもきゅんとくるお話でした。KITYさんの情景描写が上手すぎです。 (2018年12月3日 1時) (レス) id: a48d1d7bc4 (このIDを非表示/違反報告)
KIYT(プロフ) - いつもありがとうございます!知念ちゃんは何歳になっても可愛くいてほしいね♪ (2018年11月30日 19時) (レス) id: 6e2f3196d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KIYT | 作成日時:2018年11月30日 5時