5-9 ページ8
【sideコナン】
阿笠博士が商店街の福引で引き当てた、《アクアパーク杯戸 5名様までご招待》の券を巡って、子どもたちが、誰がどうやって行くかという話をしていた時、蘭が園子に相談してくれたおかげで無事に全員行けることになったんだが。
いつもなら「私はパス」の灰原も、歩美ちゃんと一緒にまあまあ乗り気だったし、たまにはいいか、と来てみたんだが。
「…あれ、ポアロの安室って人じゃない？」
「安室さん？」
灰原が小さな声で呟くように言い、指差した方向には大きなトンネル水槽があって、その真ん中付近に確かに安室さんがいる。
いつもとかなり雰囲気が違うみてぇだが……まさか隣にいるのはAさんか？
おいおい、デートか…？
2人が移動したのを見て、少し近づいてトンネルの入り口までこっそり来ると、オレの後ろで同じく声を顰めた蘭の声がした。
「…園子！あれって安室さんじゃない？隣にいるの、Aさんかしら？可愛い」
「どこどこ？わぁ…2人手を繋いじゃってラブラブじゃない」
蘭と園子にまで気づかれるって、それでも公安か？なんてな…
美男美女カップルにしか見えない2人を横目に頬を染めながら通り過ぎる他の客なんて目に入っていない、とでもいうように2人の世界真っ只中だ。
アオウミガメに驚いたらしいAさんに笑って、何かを囁いた安室さんが彼女の腰に手を回して優しく抱き寄せたのが見えて、覗き見していた俺たちは全員で頬を染めながら息を呑む。
「…彼、やるわね」
灰原の呟きに全員が頷く。
その後も抱き合ったまま見つめあって何かを話している2人の会話が物凄く気になるんだが、館内の音楽もあって中々聞き取れない。
トンネルの中に入っちまえば、この音楽も聴こえなくなると思うんだけど…！
悶々としているうちに、何故か頬を少し染めた珍しい安室さんが、Aさんに顔を近づけていくのが見えて、蘭と園子が小さく黄色い声をあげている。
ま、まさか、こんなところでキスするのか⁈
「あ！おーい！こっちにでっけぇトンネルがあるぞー！」
元太を先頭に大きな声を上げながら歩美ちゃんと光彦がオレたちの真横を走って通過していって、
流石にその聞き慣れた声に気がついた安室さんが顔を上げてこちらを見た。
やべぇ…バレた。はは…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 275人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひより | 作成日時：2023年4月21日 21時
