Prince of Triple face２【降谷零】 (ページ35)

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『きゃああ！！』

あまりの怖さに犯人とは反対方向に逃げて、大階段のある方へ走る。
狭い通路を進むより、広い空間の方へ向かった方がマシな気がして…
大階段を降り始めた時、近づいてきた犯人の「止まれ！」という怒号と一緒に、透くんとコナンくんの姿を見つけた！

「A‼︎‼︎」
「Aお姉さん‼︎」

広いメインロビーの階段横で透くんが両手を掲げて見上げているのが見えて、私は手すりを掴むと躊躇わずに飛び越えて、透くんの腕めがけて体を小さくしてお尻から落ちた。
と同時に反射的に強くギュッと目を瞑るけど、すぐに抱きかかえられたのがわかって、彼の首にギュッとしがみつく。

「クソっ‼︎」

「させるかよ‼︎」

犯人とコナンくんの声が聞こえて、慌てて目を開くと何かがものすごい速さで通り抜けたのが見えた⁈と思ったら、真上で何かがぶつかる様な大きな音と犯人の苦しそうな声とがして、その方向に顔を上げると、犯人が倒れているのと転がっているサッカーボールが見える。
えっ……？何が起きたの？

「ふぅ……」

「流石だな」

透くんがコナンくんにかけた言葉を聞いても、何が何やらさっぱりわからない…でも…

「Aさん、無事でよかった…」

『うん…ありがとうございます』

抱きかかえられて彼の首に腕を回したまま見つめ合う私達は、唇が触れてしまいそうな程に距離が近い。
透くんが優しく微笑んでくれるのを見て、お互いに無事だったんだ……と、ひどく安心した。