◾︎6話 トラウマ ページ12
イルカプールに着くと、空いている座席に腰掛けた。座席はほぼ満席に埋まっていて、ショーの人気さが伺える。
歩美ちゃんの隣に哀ちゃんがいるのに気がつき、1番遠いところに座っている彼女と目が合うと手を振ってみる。
すると控えめながら手を振り返してくれた！
可愛い。覚えててくれたんだ。
『コナンくん。哀ちゃんって可愛いね』
「そ、そうかな？」
「僕はあまりお会いしたことが無いですが、物静かそうな綺麗な子ですよね」
『…え。透くんそれ大丈夫ですか？発言が結構アウトな感じしますよ？』
「え!? 変な意味じゃないですよ」
透くんをジトー……という目で見るとかなり慌てて否定しているけど。
コナンくんも苦笑いしてるし。
タイミングよくイルカショーが始まる音楽が鳴りだして、透くんはオペラグラスを取り出すとイルカ達を眺めるフリをして先程の調査対象者達を探し始めた。
ショーが始まってしまえば、オペラグラスを持っていても変じゃないですしね。
見つけると私にこっそりと座席の場所を教えてくれました。
無事に良い席でイルカショーを鑑賞中のようです。
歩美ちゃん達も大興奮で喜んでいる声がこちらまで聞こえてくる。
イルカショーも終盤にさしかかり、ショーのMCの飼育員さんが�猖榮�の誕生日ゲストの子どもたち�瓩鯢饌羮紊妨討唸�んだ。
先程の男の子も登壇して、イルカとの触れ合いを楽しんでいる。
ショーは観客達の温かい拍手に包まれて、無事に終了した。
『あの男の子、無事に楽しめてよかったですね』
「そうですね」
「安室さん達が調査してたのって、あの人達だったんだね」
『そうなの。これで無事に…』
キャーーーーー!!
突如、私たちの右斜め下方向の座席から女性の大きな悲鳴が会場に響き渡った────。
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作者名：ひより | 作成日時：2023年4月21日 21時
