Prince of Triple face【降谷零】 (ページ13)

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【side安室】

Aさんとハロを踏みつけようとしている男が見えて、後ろから刃物を所持している方の腕を掴み、軸にしている左足を蹴って薙ぎ払い、男を背負い投げて地面に叩きつける。
男は気絶したようだ。

「Aさん！ハロ！大丈夫ですか⁉︎」

ハロを守るように覆い被さっている彼女を抱き起こすと、口にはガムテープが貼られ、両手足をガムテープで縛られていた。
グッタリとした彼女の体を支えながら、傷つけないようにそっと口元のガムテープを剥がしていく。
涙で濡れた彼女の瞳は揺れていて、僕と焦点が合わない。

『……おうじ…さまの……ぜろさん…』

⁈
王子様の…ゼロさん…？
その言葉に、どこか既視感を感じるも、ゼロという単語に敏感になってしまう自分がいる。
まさか、僕の正体を知っている…？
いや、彼女はごく普通の一般人だ。
ならば、何故？

一先ず、彼女の拘束を解き、怪我が無いかを確認する。
……手足に擦れた傷ができてしまったが、その他は問題なさそうだ。
ハロも元気そうで安心した。
ストーカーによる誘拐事件の犯人を捕らえたと、直ぐに風見に連絡を入れると、数分で彼が駆けつけてくれた。

「降谷さん！その人は…？」

「彼女が被害者だ。僕の知人なんだ。彼女を安全な場所に運ぶ。後を頼めるか？」

短く返事をした風見に礼を伝え、ハロのリードを掴み、Aさんを横抱きにして足早にその場を去ると、パトカーのサイレンの音が公園の沿道に響き始めた────。

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