彼女な私。２【2BRO.】─短編集─ (ページ7)

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2BRO.と眠れない彼女*兄ページ7

〈2BRO.と眠れない彼女〉兄者

ふと目を覚ますと、隣でグズグズと鼻水をすすりながら何やら俺に背を向けて彼女が泣いていた

「なに、起きてんの？」

そう言って後ろから抱きしめると、目を真っ赤にしたAが向き直っては勢いよく抱きついてきた

『怖い夢見た･･･』

「そんなの気にすんなって･･･」

『だって･･･兄者がどっか行っちゃう夢見た･･･』

そう言って子供みたいにぐずる彼女をなだめるように、「俺はここにいるだろ」と強く抱きしめ直した

しばらくして落ち着いてきた彼女は、さっきまでとの反動を加えて分かりやすく甘えてくる

『へへ、兄者、あったかいね。』

「･･･眠いからな」

『いい匂いする･･･』

「･･････」

俺は未だ重い瞼を開ける気力もなく、目を閉じたまま彼女の絡みを適当にあしらう

すると突然、瞼の前に影が落ちたと同時にコツン、とおでこと鼻が何かにぶつかった

ゆっくりと目を開けると、

『ちゅーしようとしたのに、失敗しちゃった』

と恥ずかしそうに俯くA

「･･･下手くそ」

それだけ言って、彼女の唇にキスを落とした

泣いた直後のほんのり赤い瞼や、潤んだ瞳が思いの外彼女の魅力を引き立てて、不覚にも冷静ではいられない自分がいた

だんだんと深めるように舌を絡ませると、苦しそうに服を掴んでくる仕草にさえ気持ちを煽られる

『･･････ん、･･･っと、』

「ん？」

『･･･もっと、して？』

そんな彼女の言葉が引き金となり、拍車がかかったように口づけ、そのまま彼女を組み敷くように上になる

しかし改めて彼女の表情を見ると、既に限界が来ていたのだろう、

寝ぼけたように小さく笑っては、途端にスースーと規則正しい寝息をたてて眠ってしまった

何をしても無反応な彼女を見兼ねて、諦めて隣に横になる

「･･････ここまでしといてそれは、拷問かよ」

呑気に眠る彼女を見つめ、眠れないのはどっちだと心の中でツッコミを入れる

彼女の愛くるしい寝顔を横目に、少し悔しくなって仕返しの代わりにと、

真っ白な彼女の首筋に唇を沿わせ、小さく赤い印をつける

「･･･明日は覚悟しとけよ」

「おやすみ」