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先輩の怯んだ隙に逃げたのはいいけど…
こんな服の破れた格好で…
とりあえず人目につかない路地裏に隠れしゃがみこみスマホを手にした
未だ震えてる手で神楽ちゃんに電話をかける
…お願い、繋がって!
「…どうしたアルか?」
『あ、か、ぐらちゃん…ごめんね、急に』
「別にいいアルよ、声震えてるみたいアルけど…」
『えっと…いま神楽ちゃん自宅?』
「ううん、馬鹿兄貴の家にいるネ」
『そ、そっか…あのね、ちょっと派手に転んじゃって上の服が破れちゃったの…服とか…持ってきてくれたら嬉しいなぁと思って』
「怪我大丈夫ネ?…馬鹿兄貴の服だけど持って行くヨ!」
『あ、ありがとう…怪我はしてないから……あと神威くんには内緒で来て欲しいの………は、恥ずかしいし、へへっ』
「……わかったアル」
とりあえず助かった、神楽ちゃんに今いる場所を教え電話を切った。
この涙も神楽ちゃんが来る前に止めないと…
けれど先程の出来事がフラッシュバックして
酔ってるせいかもしれないけど先輩が別人に見えてとても怖かった。
収まれ、早く収まって
この震えもこの涙も…
「…やっと見つけたアル!どうしてこんな路地裏に……どうしたアルか…その格好…どうして泣いてるの」
『転けたんだよ!痛くて泣いちゃった…いい歳して恥ずかしいよね』
神楽ちゃんは心配そうに近寄った
服はどうやら持ってこれなかったのかな
手荷物はなかった。
「ちょっと待ってて……あ、もしもし神威、Aさんいたネ。車動かしてヨ」
『か、神楽ちゃん!?私言ったよね…神威くんには内緒でって…』
「ごめんなさい、様子が変だったから神威にも来てもらったネ」
視界が眩しくなり目を細める
これは、神威くんの車だ
「Aさん、転けたって聞いたけ……それとーしろー先生がやったの?」
「話は後ネ、とりあえず家までいくヨ」
神楽ちゃんは私の肩を抱き起こしてくれた
そして神威くんが私の背に手を支えた時だった
先輩の手じゃないのに怖くて声が出てしまった
『触らないでっ……ご、ごめんなさいっ』
震えが酷くなりそれと同時に
神威くんに申し訳なくて謝罪をした
昔から神威くんには注意されていたのに
私は先輩だからって安心してこの始末となった
自分がどれほど大馬鹿者で恥ずかしくて苛立ちを覚えた。
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作者名:かか | 作成日時:2019年8月8日 18時