夢幻泡影【特撮短編集】

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◯でんぱ様


【フィリップ】

「ねえA。どうしても聞きたいことがあるんだ。」


鳴海探偵事務所へ行くと、フィリップが目をキラキラさせてこちらへ来た。


「君は僕のことが好きなのかい？」


サラッと発せられたその言葉を頭の中で何度もリピート再生した。


「……へ？す、好き……！？」

「そうさ。」


さあ早く答えてくれ、とでも言わんばかりに見つめられ、つい


「うん、好きだよ。」


と言ってしまった。

彼は少しの沈黙の後、


「その感情について、もっと詳しく教えてくれないか！？」


と言った。

……私の恋が叶うまで、まだ時間がかかりそう。



【R良太郎】


デンライナーの端っこの席。

隣にいた彼氏である良太郎に抱きつくと、


「どうしたの〜？」


と抱き返された。

……なんだかおかしい。

いつもの良太郎なら、顔を真っ赤に染めて大慌てするのに。


「ねえ、あなた良太郎じゃないでしょ。」

「あはは、正解〜！」


なんでわかったの？とまるで子犬のように聞いてくるあたり、リュウタロスが憑依しているのだろう。

ぎゅ〜っと抱き締められていると、なんだか気が狂ってきた。


「子供っぽいところ、とか？」


そう言ったのが気に食わなかったのか、彼はふーんとつまらなそうに言葉を漏らした。


「……僕だって大人っぽいところあるし。ほら、」


そこで言葉を途切れさせると、口を塞がれた。

噛み付くような、それでいて甘いキスだった。


……もう、そんなことしたらもっと意識しちゃうじゃん。

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