夢幻泡影【特撮短編集】

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◯スズ様


【門矢士】


パシャリ、という小気味よい音が部屋に響いた。


「士、また私のこと撮ったでしょ。」

「別にいいだろ、減るもんじゃないし。」


そう言ってまたパシャリ。

そりゃそうだけどさ……と口の中で転がしながら、確信犯の背中を軽く叩いた。

叩いたつもりか？くすぐったいな、と笑われたものだから今度こそ強く叩いた。


「あーあー、俺にそんな態度とっていいのか？」


あ、まずい。モードに入った。


「ご、ごめんなさい……」

「なんだか今日は一段と素直だな。」

「そんなことないし。というか、写真の件はどうなの？」


上手く丸め込まれたと思ったのにな、と口を尖らせていた士の手からカメラを無理やり奪い取ろうとしたが、そう簡単には行かなかった。


「どうやら本当にお仕置きしないといけないみたいだな。」


ついに行動を阻止され、また写真を撮られた。



【桐生戦兎】


「ねえ、ちょっと実験体になってくれない？」


いいから早く、と急かす戦兎。私は衝撃を覚えた。

まさかあの優しい戦兎がこんなことを言うなんて。


「じ、実験体って……？危ないやつじゃないんだよね……？」


まあちょっとね、なんて笑うものだから、少し……いや、かなり不審に思った。これはただの実験じゃない。


「戦兎、どういうこと？」

「やっぱりAにはバレるかぁ……」

「実験なんて嘘。本当は、Aに甘えるための口実。たまにはいいでしょ？」


はぁ、そんなことだろうと思った。


「そんな面倒くさいことしなくても、素直に言えばいいのに……」


じゃあキスしてよ、もちろん口に。なんて言われたから、もう完全に彼のペースに飲まれた。

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