【三人称】今夜はあなたと【短編集】 (ページ6)

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【鉄塔】　早退ページ6

『…はぁ』

疲れた。
今日はやたらと疲れる。それに朝から少し頭痛も続いてる。

「Aちゃん、大丈夫…？」

デスクで項垂れてると、同僚の女の子から声をかけられた。

『あ、うん、大丈夫笑』

「ほんとに？朝から体調良くなさそうだけど…それに顔色悪いよ？」

ふとコンパクトを覗くと、青白くなった自分の顔があった。

『ほんとだ…』

「ねぇ、熱あるんじゃない？休憩室行こ？」

『ううん、そんな大したことじゃないよ笑』

「ダメダメ！熱あったら大変でしょ、ほら行こ？」

やたら心配されるので、仕方なく同僚の子と休憩室に向かった。
休憩室は自販機とコーヒーメーカーとソファとテーブルがあって、救急箱とかが入ってる棚があるくらい。

救急箱から体温計を取り出して渡される。

「はい、測って待ってて？」

『うん…ありがとう』

「コーヒー淹れてくるね」

ソファに腰掛けて体温計をケースから取り出す。保健室とかにある、脇に挟むやつ。
挟むときが冷たいから、あんまり好きじゃない。

『っ…ちめた…』

文句は言ってられないので測る。
でもやっぱり冷たい。

「おまたせ、カフェラテでよかった？」

『大丈夫だよ、ありがとう』

テーブルに2つマグカップが置かれて、同僚も隣に座った。

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ
『あ、鳴った』

「何度？」

脇から取り出して体温計を見てみると

『…37度8分』

「熱あるじゃん！」

普通に熱だった。
これは頭も痛くなるよね…

「Aちゃん、今日は早退させてもらおう？残りの仕事は私がやっておくから」

『いや、でも…』

「大丈夫！私もう今日はほぼ仕事ないから！ね？」

『んー…わかった、ありがとう』

カフェラテを飲み干して、オフィスに戻った。
上司に体調不良で早退すると伝え、デスクに戻った。

「今日金曜日でよかったね、ゆっくり休んでね？」

『ほんとにありがとう…じゃあ、お疲れ様』

「うん、お疲れ様！」

会社を出て帰路に着く。
本当は仕事が終わった後、夜に鉄塔さんと出かける予定だったけど無理そうだな…帰ったら謝らなければ。

『あ、鉄塔さんに迎え頼んだ方がよかったかな…』

カバンからスマホを取り出す。けどあと少しで着くし、頼むほどじゃなさそうなのでやめた。

『うぅ、頭痛いなぁ…休憩室で薬飲んどけばよかったなぁ』

今更行っても遅いので、歩く足を少し早めた。