【三人称】今夜はあなたと【短編集】 (ページ23)

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【ドンピシャ】　後輩ページ23

ドンピシャside

ついこの間まで1年だったはずなのに、気付けばもう3年生になろうとしていた。高校生活、まだ大したことしてないのにもう終わりそうだ。

「そういや今日から体験入部始まるって」

机に突っ伏していたらぺーさんから話しかけられた。

『まじ？』

「まじ」

『どんな子が来るんだろうなぁ』

「めんどくさい奴来なけりゃ誰だっていいよ」

『興味なさげだねぇぺーさん』

軽音部ってのは、大体最初は大勢来るけど時間が経てばちゃんとやる人達しか残らない。
興味本位とか、軽音部って名前が欲しくて来るってのもよくある話。

「どうせ二度と来ないんだから最初から来んなよな、まじでめんどくさい」

『まぁまぁ、才能ある子とかいるかもよ？』

「才能あろうがなかろうが、ちゃんと来るんなら何だっていい」

ぺーさんの気持ちもよくわかるが、俺は内心ちょっと楽しみにしていた。
俺たちの部活は、ほぼ男だけでむさ苦しい。
今年こそ女の子が来ますようにと願った。

放課後になり、ぺーさんと部室に向かう。

『うぃーす』

「お疲れー」

部室にはいつもの仲間たち。ほんとに男しかいないな…

『みんなー、今日から体験入部が始まるからよろしく』

「またかぁ…」

「あーい」

こう見えて俺は部長だ。ちなみに副部長はぺーさん。
去年俺が副部長だったけど、先輩達が卒業して俺になった。

「そろそろ来るんじゃね？」

『よし、みんなやってる風にしとけ！』

「ちゃんとやってるわ！」

しばらくして、数名の1年生たちが体験入部に来た。
そしてなんと女の子がいる。2人も。

『こんにちはー、部長のせいじですー』

みんな緊張しているのか、ぎこちなくお辞儀をする。

『そんな緊張しなくていいからね笑一応俺はドラム担当です！』

「俺ベースです」

「俺はギターだよー！」

「俺もギターだけどリードだよ」

『じゃあみんな、やってみたい楽器の担当の人のとこ移動してみてー』

1年生たちがそれぞれ、やりたい楽器の担当の奴のとこに移動する。
やっぱギターやりたい子多いよね笑

「あ、あの…」

『ん？』

「私、ドラムやりたいです」

…え？
今この子ドラムやりたいっていった？まじで？！
しかも女の子？！

『まじか！！やりたいの？！』

「や、やりたいです！」

『よっしゃー！！』

「うるせぇよドンさん」

ぺーさんに怒られた。
でも遂に、ドラム希望の女の子の後輩ができました。