147 ページ47
貴「もういい加減にしてよ!!」
辰哉に静かにしてと言いながら、辰哉よりも大きな声で叫ぶ。
こんな酔っ払いに言っても意味がないんだけど、私も私で限界で、この気持ちをどこに向けたらいいのか分からなかった。
辰哉の顔からは笑顔が消えて、目を見開いている。
貴「なんでこんな時期に、こんな遅い時間に帰ってくるの!?お酒なんて飲んでないで、少しでも早く帰って来て、莉玖や藍の面倒見たり、家の事やったりしてよ!!」
深「…A?え、お、落ち着い」
貴「落ち着いて?誰に言ってんの?辰哉が落ち着いてよ!落ち着いて考えてよ!!呑んで帰って来れるような状況?」
一度口が開いてしまったら、もう言葉が止まらなかった。そして同じくらい涙も止まらなかった。
寝室からは藍の泣き声が聞こえる。
辰哉が名前を呼びながら、私の方に手を伸ばす。
その手を払いのけ、寝室へと駆ける。
莉玖も目を擦りながら、ままぁ…と悲しそうな心配していそうな声を出している。
藍を抱きながら莉玖の頭を撫でて、ごめんね、大丈夫だよと伝えるけど、私の涙を見て、莉玖も涙を流し始めた。
寝室で親子3人が涙を流しているという状況。
辰哉が莉玖を慰めようとしてくれるけど、どうしても今は子どもたちに触れてほしくなくて。
貴「いいから」
そう言うと、辰哉は動かずに止まっていた。
貴「お風呂行って」
深「…わか、った」
辰哉に見られていると、涙がいつまでも止まらない気がして、この場から離れてほしかった。
涙を掬って、藍と莉玖をあやす。
貴「ごめんね、ママは大丈夫だよぉ。莉玖も悲しくなっちゃったかな?大丈夫大丈夫、ほら、見てー?ママもう笑ってるよ?」
しばらくそう話しかけていると、莉玖も藍も落ち着いたみたいで、泣き疲れたのかぐっすりと眠ってくれた。
辰哉がお風呂から上がって来て、気まずそうに私を見つめている。
貴「しばらく実家に帰るから。莉玖と藍も連れて。保育園はしばらく休む。ごめん、頭冷やしたい」
それだけ告げて、辰哉の返事も聞かずにベッドに入って目を瞑った。
辰哉がどんな顔をしていたのかは知らない。
何も見たくなくて、何も聞きたくなくて、全ての感覚をシャットアウトするために眠りについた。
497人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きこ(プロフ) - カさん» ありがとうございます💜 (2023年3月5日 16時) (レス) id: 60f4cd8162 (このIDを非表示/違反報告)
カ(プロフ) - きこさん» 作者自己満の作品に嬉しいコメントいただき涙涙です🥹非公開になっていました…!教えていただきありがとうございます!公開いたしましたので、ぜひお読みいただけると嬉しいです^ ^ (2023年3月5日 16時) (レス) id: 5b373ae6f8 (このIDを非表示/違反報告)
きこ(プロフ) - お話楽しみに読ませていただいています!ふっかさんみたいな人ホントにいたらいいのに(⸝⸝ ´艸`⸝⸝)思い違いでしたら申し訳ないですが、126話がないようなのですが… (2023年3月5日 6時) (レス) id: 60f4cd8162 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カ | 作成日時:2023年2月24日 20時