steal my love (ページ44)

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44. Your side ページ44

あれから私は、上からの命令に逆らって1人で事件について調べていた。
このことは深澤さんにも伝えていない。

あの日、深澤さんは"ここでやっていくなら、お前も切り替えろ"って、そう言っていた。

深澤さんもこんなことがあったんだろうか。
何か同じような状況を経験したみたいな口調だった。

調べているとはいえ、警察官である以上できることが限られている。
そこで私は情報屋を雇った。逮捕歴のある裏社会にも精通している人物で、昔私も取り調べに参加したことがあったから、顔見知りだった。

"あれー？あの時の姉ちゃんじゃんかよ。どうしたー？こんなとこ来て？俺のことは許せないんじゃなかったのかー？正義があーだこーだ言ってただろうよ"

そう言われて、思わず顔を顰めた。

貴「…信念だけじゃ助けられない人がいる」

"そーかい。ま、俺は金さえもらえれば、信念だとか正義だとかはどーでもいいからな！はははっ"

お兄ちゃんがこんな私を見たらどう思うんだろうか。
どんな言葉をかけられるんだろうか。

情けないような気持ちとこれが正しいんだという気持ちとが入り混じる。

私は自分の中の正義が崩れ始めていることに気付いていた。

そして同時に、かつては許せない存在だったSnowManがとても近いものに思えて、眩暈がするようだった。