40. No side ページ40
被害者が全員女性ということもあり、Aは熱心に最近の事件について調べていた。
誘拐された女性は4人。
防犯カメラの映像から、誰かに連れ去られていることはわかるが、人や車の特定はできていない。
被害者たちに共通点はなく、無差別な誘拐に思える。早く見つけ出さないと、彼女たちの命が危ないかもしれないとAはかなり焦っていた。
深「まだ調べてんのか」
貴「どうしても犯人を捕まえたくて」
深「もう暗いんだし、お前も帰れ」
貴「でもまだやりたいことが、、」
深「危ないから。捕まえる側の人間が被害者になったら元も子もないだろ。送ってやるから今日はもうおしまい」
貴「いや、大丈夫です！これでも警察官なんで。その辺の男性よりは強い自信ありますし！」
深「いーから、黙って送られろ。はい、帰るよー」
貴「ちょっと、、」
________________
帰り道、何を話したらいいのか分からないAだったが、兄のことについて探りを入れる絶好のチャンスだと思い、思い切ってこんなことを質問した。
貴「深澤さんって兄弟いますか？」
深「んー？突然だな笑。いるよ。なんで？」
貴「いや、なんとなく。何人兄弟ですか？」
深「2人。妹と俺」
貴「ふーん」
深「なんだよ笑。聞いといて興味なさそうだな笑」
貴「いや、なんか意外だなーって」
深「Aは？」
貴「兄が1人。警察官でした。数年前に亡くなってしまったんですけど、今でも私の憧れです」
深「…そっか」
貴「ああ、なんかすみません！重たい感じにしちゃって！」
深「いや、素敵なお兄さんなんだな」
貴「…はい。正義感の強いまっすぐした人でした。誰にでも手を差し伸べるような優しさもあった。そんな兄のことが私は大好きでした」
深「うん」
Aの言葉に応える深澤の顔は、何かを懐かしむようで、彼女もまたその雰囲気を感じ取っていた。
そしてその瞬間、「ああ、やっぱり深澤さんはお兄ちゃんのことを知っているんだ」と確信した。
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作者名：カ | 作成日時：2023年2月21日 15時
