steal my love (ページ33)

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33. Your side ページ33

お兄ちゃんは、窃盗犯を捕まえるために、犯人を追跡している時に交通事故に遭ったらしい。

警察に追いかけられた犯人が、信号を無視して横断歩道に入り込み、それを助けようとした兄が代わりに帰らぬ人となった。後日聞いた話によると、その犯人は助かったらしい。

でも、犯人からの謝罪は一切なかった。むしろ開き直って、追いかけてくるのが悪いんだ！俺は助けてくれなんて一言も言ってない！って。

私はその時初めて人を殺したいと思った。
あの男が刑期を終えるタイミングを狙って、私が殺してやろうと思った。

復讐心に支配され、高校は休みがちになり、自室に引き篭もる生活が続いていた。

そんなある日、母が部屋に入ってきて私に手紙を一通渡してきた。母も兄が亡くなってから、食事が喉を通らず、かなり痩せてしまった。

そんな母が目に涙を溜めながら、なぜか少し明るい顔で私に言った。

「A、お兄ちゃんはこんなこと望んでない。お母さんも犯人が憎い。大事な息子を奪われて、同じ目に遭わせてやりたい。でも、それはお兄ちゃんが望んでることじゃない。」

「これ、今日ポストに届いてたの。お兄ちゃんが事前に用意していたのを誰かが届けてくれたみたい。置いておくから読んであげて」

母が部屋を出て行った。

机に置かれた手紙を開けると、2枚の便箋と小さなメモが入っていた。

便箋にはお兄ちゃんの文字で私宛ての手紙が書かれている。

"Aへ

警察官という職業上、自分の身に何が起こるか分からないので、もしものときのためにこの手紙を書いています。お前がこれを読むことがないといいんだけどな。笑

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俺がどういう最期を迎えたかは分からないけど、もしそこに犯人が関係していても、俺が犯人に殺されたとしても、憎むことに力を使うな。
許せとは言わない。ただ、お前の貴重な時間と労力を無駄なことに使うな。それよりも、Aの正義を正しい方向へ向けてほしい。
悪者をやっつけるんだろ？笑

大丈夫Aならできる。Aは俺の自慢の妹だから。俺はいつでもAのそばにいるから。"

涙が止まらなかった。息をすることも忘れるくらいに泣き叫んだ。胸が苦しくて、でも同時に胸のつっかえが取れた気がしてお兄ちゃんには敵わないと思った。