steal my love (ページ29)

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29. No side ページ29

ある日の昼下がり。
仕事が休みだった深澤は、薄いピンクのパーカーに黒いダメージの入った細身のパンツを履いて、いかにも私服といった装いで1人晴れた空の下を歩いていた。

住宅街から少し外れた砂利道を歩く。左耳の2連のフープピアス揺れて、太陽に照らされ、きらりと光っている。

その手には花が握られていて、しばらく歩くと墓地が見えてきた。

深澤は花を供え、線香を炊くと墓の前にしゃがみ、手を合わせた。

深「お久しぶりですAさん。俺は元気にやってますよ。…って言わなくてもわかりますよね笑」

ポケットからタバコを2本取り出し、1本に火をつけ、もう1本は墓石の前に置く。
一息だけ吸い、こう続ける。

　

深「懐かしいっすね。こんな感じで一緒に過ごすのも。なんか今年はどうしても一緒に吸いたくなっちゃいました笑」

深「Aさんの妹…Aのことは俺がちゃんと守るんで、心配しないでください。じゃあまた来ますね。」

吸い殻を携帯用の灰皿入れ、取り出したもう一本のタバコをケースにしまい、そのままケースごとタバコをお供えをして立ち去る。