21. No side ページ21
GPSをつけられた男の名を、先日ラウールが受け取った名刺の通り田中、女の名を同様に佐藤としよう。
SnowManは田中と佐藤の位置情報を調べながら、彼らの本拠地がどこなのかを探っていた。
何日間かその分析を続けると、彼らの動向が見えてきた。
田中は必ず自宅以外に3時間以上滞在する場所がある。
都内某所のビルの中だ。
恐らくここが彼らのアジトである。
田中が組織の中でどれほどの地位にいるのかは不明だが、佐藤がアジトに出入りしていないことを考えると、トップに近いだろうと予想できる。
阿部が、今まで自分が弁護を担当したクライアントの中から、不動産業を営む人に連絡をし、すぐに近くのビルの空きテナントを期間限定で低価格で借用できるように手配した。
阿部先生のためなら！と快諾してくれたようで、阿部が周りの人をどれだけ救ってきたかがうかがえる。
何人かが日替わりでそこに行き、望遠鏡を使いながら、田中のいるビルの様子を確認する。
今日は岩本と宮舘がやってきた。
岩「見た感じだと、中にいるのは多くて5人だよね」
舘「そうだね。なんとなくだけど、田中はサブかそれに近いポジションにいる気がするんだよね」
岩「あー、まあなんとなくわかるかも。雰囲気とか周りの接し方的にでしょ？」
舘「そうそう。上の集団の中でも下っ端ではないなって」
岩「お金はあそこにあると思う？」
舘「うーん、多分ね。」
岩「だよね。田中、戻ってくると絶対一回は奥の方に行くんだよね」
舘「多分、金庫に回収したお金を入れてるんだと思うけどね。それか、通帳を金庫に入れて管理してるか」
岩「どっちにしても金庫はあるよね」
舘「うん。と思う。出入りする人が1人じゃないから、不用心に置いておくと自分の知らない間に誰かに盗られるかもしれないからね。たとえ仲間だったとしても金に目がない奴らの集まりだから」
岩「じゃあロックの解除が必要ってわけね」
舘「うん。まあでもうちは康二がいるし大丈夫でしょ」
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作者名：カ | 作成日時：2023年2月21日 15時
