steal my love (ページ19)

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19. No side ページ19

やると決まってからの彼らの行動は早かった。

まずはラウールがその友だちから詳しく話を聞き、勧誘してきた女の連絡先を押さえた。

そして、あたかも自分も興味があるかのように女に連絡。接触することに成功した。
ラウールが友だちから話を聞いたカフェで落ち合う。

しかし恐らくこの女も下っ端だから、こいつを捕まえても意味がない。どうにか組織の上の者を引っ張り出したい。

女との会話の中でそれとなく、「もし始めるとなったら、オプションも全てつけて万全の状態で始めたい」旨と、しかし一方でまだ不安が残っていることを伝える。

そうすると女はまんまと餌にかかったようで、専門家を連れてくるから、また今度時間をとって話をしようと提案してきた。
　

手放すことのもったいない太客になることで、組織は説得の上手い上の人間を送り込むだろうと読んだのだ。

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そして後日。

夕方、ファミレスでラウールと女、そして専門家を名乗る男の3人で話をする。

男「不安なのはわかります。確かに難しいですしねー。でも、マニュアルもついていますし、僕たちが24時間手厚くサポートするので絶対に大丈夫ですよ！」

女「私も始めたころは右も左もわからなかったんだけど、何から何まで教えてくれて、今では自分で稼げるようになったの！つい最近もブランドの新作バッグ買っちゃって！ラウールくんは頭もいいだろうから、すぐ独り立ちできると思うよ！」

渡「おー、おー、随分うまいこと言ってんな」

スピーカーにしたスマホから聞こえる会話を聞いた渡辺が呟く。彼は今アジトにいるようだ。

今日は美容室が定休日で比較的早い時刻から活動できる。

阿「そんなうまい話ないのにねー。そんな簡単に稼げるんだったらみんなそれやってるから。全世界FX祭りだよ」

阿部もまた、聞こえてくる会話に反論する。

彼は今、大学の自分の研究室にいる。
普段は弁護士として働く阿部だが、母校で特別講義を受け持っているため、今日は大学の研究室から話を聞いている。