steal my love (ページ12)

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12. Your side ページ12

あの有名なイケメン俳優の西田が捕まった。

匿名のタレコミがあり、張り込みをした結果、違法ドラッグの所持と使用が確認された。

取り調べをすると、本人はあっさりと罪を認めた。
犯罪組織と若者を繋ぐ架け橋の役割をしていたらしく、組織から大量の金を受け取り、クラブで出会った若者に試用を勧めることが主な仕事だったようだ。

西田の家を家宅捜索すると、違法ドラッグや顧客名簿などが発見された。

しかし、肝心の金がどこにもない。
銀行に預けているわけでもないし、自宅にもない。

西「先週の金曜日、クラブから帰ると金が全部なくなっていた。寝室のクローゼットの中のスーツケースに入れてしまっておいたんだ。その日も受け取った金を仕舞おうと思って広げたら、中が空になってた。」

西「ただ、取り返したくても公にすることのできない金だったから、どうすることもできなかった。」

取り調べでそう答える西田を別室から眺めながら、隣にいる深澤さんに尋ねる。

貴「またSnowManですかね」

深「どうだろうねぇ」

貴「SnowManは自分が汚い金を綺麗な金に変えているとでも思っているんでしょうか。やっていることはその辺の犯罪者と変わりません。ただの自己満足です。」

深「あらあら、熱くなっちゃって笑」

貴「深澤さんはどう思ってるんですか、SnowManのこと」

深「俺ぇ？俺は……

　

　どうも思ってないよ笑」

貴「世間がSnowManを知ったらどう思うんでしょう。正義のための泥棒だとでも言うんでしょうか。そんなの正義の履き違えです。」

つい熱くなってしまい、言葉が止まらなくなる。

すると深澤さんが私の肩にポンと手を置き、こう言った。

深「でもねA、正義なんてものは人の数ほどあるんだよ。何が"正しい正義"なのかなんて誰にもわからない。みんなそれぞれが自分の正義が正しいと思っているものだしね。」

私を捉えるその瞳は暗闇を見つめているようだった。力なく、何かを諦めたような、でも強い意志を感じるような、矛盾した瞳だった。

部屋を出ていく深澤さんの背中を私はただぼーっと見つめることしかできなかった。