腐れ縁【紫】 2 (ページ10)

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長いこと一緒にいるけど、辰哉と2人でご飯ってことはなかなかなくて、毎回必ず他に誰か1人はいる状態でのご飯だったから、なんか今日はいつもより緊張する。

個室の居酒屋で、結構オシャレな雰囲気のお店だった。

随分いいとこ知ってるんだな〜。
こういうところで女の子のこと口説いてんのかなとか、今までの私だったら全然興味がなかったであろうことを考える。

深「A何飲む？てか、飲んで大丈夫？」

貴「うん、全然大丈夫」
　「私ハイボールで」

深「おけ」

辰哉が注文してくれる。
ここは卵焼きが美味しいらしい。

お酒が来て、辰哉がジョッキを持ち上げる。

深「んじゃあ、乾杯」

貴「ん、乾杯」

ぷは〜っと言うと、いい飲みっぷりだなと茶化される。
可愛い言葉が出なくてごめんなさいね。

頼んでいたおつまみがやって来て
早速食べようと箸を伸ばす。

すると目の前から視線を感じて、顔を上げる。

貴「…ん？なに？なんか付いてる？」

深「あのさ、酔う前に言うわ」

貴「何を？」

深「俺さぁ、お前のことすげぇ好きだから、結婚を前提に付き合ってくれ」

箸で掴んでいた卵焼きがボトッと皿に落ちる。
目の前の男は何を言っているんだ？
冗談にしては趣味が悪いぞ。

貴「いや、え、ちょっと、ちょっと待って」
　「なに、冗談？」

深「いや、本気」

貴「え、待って、頭が追いつかない」

深「すぐ答えが欲しいわけじゃない」
　「俺のことちゃんと意識してほしくて」

いや、"もう十分意識しちゃってます"とは口が裂けても言えない。

何も言えず黙り込んでいると

深「そんなかあいい顔されると困るんだけど笑」
　「これからまじで俺のこと好きにさせるから」

と言って身を乗り出して来た。

どんどん顔が近づいて来て
そのままほっぺにキスされた。

深「覚えとけよまじで」

違う意味でぶっ倒れそう。