腐れ縁【紫】 2 (ページ9)

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定時になり、辰哉からメッセージが届く。

深「A終わった〜？わら」

貴「後ちょっと」

深「おっけー、じゃあ下で待ってるわ〜」

貴「了解」

なるべく急いで下へ降りると
辰哉がスマホをいじりながら待っていた。

相変わらずの猫背で、遠くからでもすぐに辰哉だとわかる。
近づいていくと、辰哉が女性社員に声をかけられた。

思わず、サッと物陰に隠れてしまった。
どうやらこの後ご飯に行こうと誘われているらしい。
意外と距離が近いからところどころ会話が聞こえてしまう。

邪魔になってしまわないよう"今日は急用ができた"とメッセージを送ろうとしたら「お嬢さん、何隠れてんの笑」と頭上から辰哉の声がした。

貴「あ、いや、ご飯誘われてるみたいだったから」

深「断ったよ、俺はAとご飯に行きたいから」

またドキドキさせる。
そんな特別感みたいな含みを持たせた言葉を選んでくるあたりずるい。

恥ずかしさと嬉しさで何も言えずに俯いていると
腕を掴まれ、辰哉がそのまま歩き出す。

深「ほらお嬢さん、固まってないで行くよぉ」

またいろんな人に見られてるよ。
定時なんて帰宅ラッシュなんだから…。
また明日このことが噂になってるのかな。
でもいいや、それはまた明日考えよう。