20 翔太side ページ20
松「うん、それじゃあ」
電話を終えた楓がリビングに戻ってきた。
何て声をかけるべきか。俯いていて表情がよく見えない。
渡「楓、大丈夫か…？」
楓がテーブルに置かれている缶に手を伸ばし、一気に飲み干す。
松「あー！スッキリした！私からちゃんと振ってやったし！！泣かないで言えたから、私の勝ちだわ！！」
目一杯声に明るさを持たせて楓は言った。
一生懸命作っている笑顔は、悲しさが溢れていて、見ているのが心苦しかった。
松「渡辺のおかげで、月曜日に辛い思いしなくて済んだわ！来週1週間仕事行けなくなるとこだった！笑」
松「よしっ！今日はまだまだ飲むぞー！笑」
泣かないように空元気で頑張ってたけど、ついに楓の目から涙がこぼれ落ちた。
渡「頑張った、から無理すんな」
涙を拭いて抱きしめてやることしかできなかった。
一度溢れ出した涙は止まることを知らないようで、拭いても拭いてもとまだなく溢れてくる。
"ああ、俺だったらこんなに悲しい顔させないのになあ"
なんて柄にもないことを考える。
俺ってこんなに一途な男だったっけ？笑
女なんてとりあえず顔が良くて、ほったらかしにしてくれて、会いたい時だけ会えればいい存在だったのにな。
なんて考えていると、腕の中でモゾモゾ動き出す奴が。
松「渡辺ぇぇぇ、慰めろぉぉぉ、、、、」
鼻を啜りながらでっかい声で話すから、俺も思わず吹き出してしまった。
あー、やっぱ俺こいつ好きだわ。笑
ここで言うのは男としてどうかとも思ったけど
でも、俺もたくさん待ったんだ、卑怯だとか言ってらんねぇ。
渡「俺が忘れさせてやるよ」
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作者名：カ | 作成日時：2023年2月18日 1時
