17 楓side ページ17
楓
目が覚めると私はタクシーの後部座席で渡辺の肩を借りていた。
どうやら同期会はお開きになったらしい。
渡「お、起きた？まだ、着かないからとりあえず寝とけ」
松「…ん？うん、わかったぁ」
だいぶお酒が入っていたこともあって、置かれている状況をよく理解しようともせず、私はまた眠りについた。
次に目が覚めた時には、見たことのない天井が広がっていた。
どこだここ。なぜかいつもより冷静に周りを見渡す。
渡「お、おはよ笑」
お風呂上がりらしい渡辺が背後から声をかけてきた。
渡「方面一緒だけど、お前ん家わかんねぇからとりあえず家連れてきたわ笑」
松「あぁ、それはどうも」
渡「ふはっ、お前も風呂入ってくれば？着替えとスキンケアは俺の貸してやるよ、下着は妹が置いてあったコンビニの新品あるし、それ使いな」
松「え、ああ、うん」
帰ることもできたのに、言葉に流されてそのままお風呂へと向かう私。
彼氏と別れた寂しさから、1人でいることを無意識に拒んでいたのか？それともこの時から私は誘導されていたのか？
気づいたらお風呂から上がって髪を乾かしている。
松「渡辺ありがとう」
渡「おう、気持ち悪いとかある？」
松「いや、大丈夫」
渡「まだ飲める？」
松「まあ、飲もうと思えばね」
渡「じゃあ、付き合ってくんね？笑」
松「え？ああ、うん、いいよ」
渡辺が冷蔵庫からお酒を取り出し、ソファに腰掛ける。
まあ、私も話したいことがないわけでもないし、丁度いいか。
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作者名：カ | 作成日時：2023年2月18日 1時
