深愛２３ ページ23
吉良｢んじゃ、そろそろ出かけるか。｣
…あんな事言っておいて平常心でいられる彼のたくましさにある意味尊敬する。
こっちはもうさっきの言葉ばかり頭に浮かんで全く話に入ってこない。
吉良｢ほら、手貸せ。｣
私の前にゆらゆらと穢れを知らなさそうな白い手が出された。
…私から見て、手というものは叩くというイメージがついてしまい、思わずその手から距離を置く。
吉良｢…これが怖ぇのか？｣
少し深刻そうな彼の表情に、私は申し訳なく首を縦に振った。
｢…ごめんなさい。男の人の手に触れるのが怖いんです…。｣
男性恐怖症の私にとって男の人の手は、どの部分をとっても一番の凶器でしかない…。
吉良｢…指先だけでも駄目か？｣
指先だけでもって…。
どうして吉良さんは、私のためにそこまでしてくれるの？
また断ったら、彼はきっと悲しそうな顔をさせてしまう。
…じゃあ、指先だけなら。
私は勇気を振り絞り、差し出された白い手に恐る恐る歩み寄った。
初めて物を触るかのように、ゆっくり彼の指先に近付いた。
五センチ…三センチ…一センチ。
そして、私はとうとう男の人の指先に軽く触れた。
その指先は暖かく、人の肌だということを知る。
触れている指先を眺めていると、彼の手が少し動き、指先から少し手前に移動させられた。
｢…っ!？｣
私の手を少し上に持ち上げられ、その手を見つめていた。
もう…指先だけって言ってたのに…。
吉良｢お前の手、ちっさくね？人形みてぇだな。｣
｢そ、そんな手動かさないで下さい…！｣
片手の指で私の指先を撫でるように手を動かしてきた。
その撫で方が妙に気持ちよくて、顔を赤らめる。
吉良さんはそんな私の反応を見て、少し悪戯に微笑んでいる。
何か上手くはめられたみたいで、ちょっと悔しい…。
吉良｢…繋いでみるか？｣
｢えっ…？｣
自分の返事に答える前に、吉良さんの手がじりじりと私の手のひらに乗せようとしていた。
｢ま、待って下さい…!いくらなんでも飛ばしすぎでは…！？｣
吉良｢お前背低いから、ちゃんと繋いでおかねぇと危ないぜ？｣
｢え、で、でも…!｣
私の静止を聞かず、いつの間にか手のひら全体に繋がれていた。
もう本格的に手繋いでしまった…。
吉良｢良いから繋いどけ。この俺様が、お前が絶対楽しくなれる場所へと連れていってやるからよ。｣
勝ち誇ったかのような笑みで手を引いてくれる彼を見て、少しだけ
…心を踊らせている自分がいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわもこ(プロフ) - ゆーみやンさん» コメントありがとうございます！最後までこの小説を読んで下さってありがとうございます！今後も楽しいお話が作れるように頑張ります♪誠に感謝です！(^^♪ (2019年11月12日 7時) (
レス) id: 5db886f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふわもこ(プロフ) - あかりさん» 返信遅くなって申し訳ございません…！2回もコメント下さってありがとうございます！(^^♪ (2019年11月12日 6時) (レス) id: 5db886f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン(プロフ) - 完結おめでとうございます!!! ヒロトむっちゃかっこよかったです……！ドキドキしました！！ 短編集も楽しみにしています！お疲れ様でした( *´艸｀) (2019年11月10日 22時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - ヒロト頑張って (2019年10月16日 7時) (レス) id: 8cd13c0c45 (このIDを非表示/違反報告)
ふわもこ(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます！素敵なお言葉が貰えてとても嬉しいです…！今後も楽しい小説が作れるように頑張ります(^^♪ (2019年10月15日 21時) (レス) id: 5db886f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふわもこ | 作成日時：2019年6月25日 19時
