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「いやー…助かりました」
「クモ…苦手なんだね。」
俺の隣でえへへ…と可愛らしく笑うのは、二宮先生だ。
あの後、俺がちっこいクモをチリトリで拾いあげて自然へ戻した。
…その間二宮先生はずっと音楽室の隅っこでふるふる震えていた。
「クモはダメなんですよね…！」
いや、そこまでは良かった。
なぜ
「ごきぶりはいけるんですけどね…」
なぜ
「あ、大丈夫ですよ⁈僕の家はごきぶりでませんから！」
なぜ俺は二宮先生と二宮の自宅へ向かっているんだ…！！
お礼させてくださいよっ…なんで上目遣いで可愛く頼んでくる二宮先生に、
強引に、もはや誘拐じゃねぇかってくらいの勢いで連れてかれている。
「この電車乗ったら、すぐですからね。」
呑気に微笑む二宮先生。
この電車、俺の家と反対方向なんだけどな…
そんな俺の呟きは、嬉しそうにへらへらしている
二宮先生には、届かなかった。
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作者名：柊 | 作成日時：2015年6月20日 21時
