Milkyway 【SN】 (ページ3)

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「…ん、じゃあ翔ちゃん、そろそろ職員室戻るわ。」

小一時間程話したあと、大野先生はささっと帰っていった。

今何時だ…？

くるり、と身をよじらせて壁にかけてある時計を確認する。

…五時ジャスト。

もうすぐだ。

俺には、この学校のちいさな、ちいさな楽しみがひとつある。

それは、この教室の廊下を挟んだ向かい側の教室、音楽室から聴こえる…

ぽろん…

ぽろん…

お、聴こえてきた。

静かな、でも綺麗な、繊細なピアノの音。

そして

ららら…

ららら…

素敵な伴奏に乗る君の歌声。

壁のせいで歌詞などは聴き取れないが、その歌声は小鳥の囀りを思わせる程、綺麗だった。

サビが終わるタイミングを見計らって教室をそっと出て行く。

きっと彼は俺の存在に気付いていない。

それをいいことに俺は毎日、毎日五時まで教室に居座り、君の歌声を聴いている。

君の歌声を聴くと、とても癒されるんだ。