我が兄さん達はアイドルになった様で (ページ9)

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少年と虎と矢張り太宰　２ページ9

太「君かい、私の入水を邪魔したのは。」
少「邪魔なんて！僕はただ助けようと――――――――入水？」

あ、少年よそこを突っ込んでしまうのか……
否、少年の感覚の方が正常か。私も随分と毒されてしまったな。

太「知らんかね入水。つまり自殺だよ。」

少「は？」

心中お察ししますよ少年。

太「私は自殺しようとしていたのだ。それを君が余計なことを―――――」
「あー、この人の話は聞かなくていいよ少年君。」
太「矢張り私の扱い酷くないかい？」

否、普段を考えろ普段を。当然の扱いだろ。

太「まあ―――人に迷惑をかけない清くクリーンな自殺が私の信条だ。」

まてまて、清くクリーンな自殺とは一どんなものを指すんだ。

太「だのに君に迷惑をかけた。これは此方の落ち度。何かお詫びを――――」

ぐううぅぅぅぅぅ

あたりに響き渡る。
何が。
少年のお腹の虫の音が。
因みに周りに人はいない。よかったね少年、私たちしか聞いてないよ。

太「……空腹かい少年？」
少「じ、実はここ数日何も食べてなくて……」

ぐううぅぅぅぅぅ

太「私もだ。ちなみに財布も流された。」

―――――――――お前もかっ！！
そんなことしているから毎月金欠になるんじゃないか！！！

少「えぇ？助けたお礼にご馳走っていう流れだと思ったのに」
太「？」
少「「？」じゃねえ！」

よく財布を流されてお礼をしようと云えたなおい。

？「おォーい」

対岸から声が飛んでくる。

国「こんな処に居ったか唐変木！」

手帳片手に仁王立ちで立つ彼。
毎度のことながら今回も振り回されているようで。かなり怒っていらっしゃる…

「国木田さん！！」
太「おー、国木田君ご苦労様」
国「苦労は凡(すべ)てお前の所為だこの自殺嗜癖(マニア)！お前はお前はどれだけ俺の計画を乱せば――――」
「国木田さん！太宰さん一切聞いてないです！」
国「聞けよ！」

国木田さんの言葉など一ｍｍも聞いていない彼は国木田さんに奢って貰おうと提案すらしている。

太「君、名前は？」
少「中島……敦ですけど。」
太「ついて来たまえ敦君。何が食べたい？」

国木田さんが奢ることは確定事項なのね。

中「はぁ……あの……茶漬けが食べたいです。」

太「はっはっは！餓死寸前の少年が茶漬けを所望か！いいよ。国木田君に三十杯くらい奢らせよう。」
国「俺の金で勝手に太っ腹になるな太宰！」

中「太宰？」

太「ああ、私の名前だよ。太宰。太宰治だ。」