結局最後は好きだったり【東リべ中編集】 (ページ17)

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三ツ谷の手を掴んだのはマイキーだった。

「A、行くよ」

『え、ちょっ……どこに、？み、三ツ谷は』

「あ、俺のことは気にしないで
　気をつけてね、"A"」

『……？！？！(今、名前で呼んだ？！)』

「…………ッ、早く行くぞ」

そのまま私はマイキーに腕を引かれて、
鳥居から遠ざかるようにどんどん歩いた。

マイキーは歩いているときも、
話しかけても何も答えてはくれない。

『マイキーどうしたの？』

『ねえ帰るならバブ置いてっちゃダメだよ』

『あの女の子はどうしたの？』

『ドラケンくんと三ツ谷が困ってるよ』

『ねえ、マイキーってば…………っわ！』

腕を強く引っ張られ、
木に背中を着けるように立たされると、

顔の両横にはマイキーの手が。

なにこれ、……壁ドンならぬ、木ドン？

マイキーは私の瞳を見ずに、
足元を見たまま低く吐き捨てるように言った。

「お前、何三ツ谷に手出されてんだよ」

『…………っ、は？』

素っ頓狂な声が出た。

イチャつけばいい、なんて発言はしたが
結局はいつも通りじゃれただけだった。

強いていえば、名前だが………

『名前で呼ばれるの、そんなに嫌だった？』

「は？違ぇよ、いや違くねえけど！！」

マイキーはペラペラと喋り出した。

「お前が三ツ谷にキスされてんの、
　俺は見てたんだよ！！

　俺だってずっとお前に触れたくて、

　好きだって伝えてえのに、
　結局まだ言葉だけでキスしたことねえし！！

　名前で呼ばれるのも正直嫉妬したけど、
　三ツ谷は簡単に頭も撫でて、触れて、キスだって…………

　Aに触れるのは、俺だけの特権だろ」

声を荒らげたマイキーには驚いた。
けれど、キスなんてした覚えはない。

一生懸命に頭を回転させると、
顔が近づいた瞬間があったことを思い出す。

ああ、あの時……
マイキーたちは遠かったし、

角度を考えるとキスのように見えるのか。

『…………マイキー、聞いて』

「別れ話なら、聞きたくねえんだけど」

『そんなわけないでしょ、私さ』

私は三ツ谷との会話や行動を、
1から順番にマイキーに伝え始めた。