距離【２】

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先程までの明るい街と真逆の公園内は、空を見上げるとチラホラ星が見える。

こんなロマンチックな場所知ってるなんて、それを最後の日に連れてきてくれるなんて、本当ずるいなあ。




「Aさんは〜、日本帰ったらもうこっち来ないの？」


『んー、しばらくは厳しそうですね。多分早くてまた来年の今時期かな、研修として』


「ふーん。じゃあ今度は、俺がAさんに会いに、日本行くよ」


『あはは、来てくれるんだ？』


「うん」


『色んな所、案内します。韓国のお礼、』




そんな先の話 。

それを約束出来る程、私達の関係は曖昧なもので、ただやっぱりそれを明確にする言葉を彼に言うことも、彼から言われることも無い。


今私達にあるのは、右手に繋がれた彼の左手の温もり。

結局、言葉にしなきゃ関係なんて明確にはならなくて、それでも私はこの手を繋いでくれる彼の意図を、自分の都合の良い方に考えてしまう。


離れたくなくて、離したくなくて…、
少しだけ繋がれた右手の力を強めると、それに応えたように同じく握り返してくれるmondoさん。


もどかしい 。

きっとこの言葉が今の私の感情にピッタリだろう。





『ね、mondoさん』


「ん？」


『私が日本に帰るの寂しいとか、思ってくれますか？』


「…いや、それは思わないよ」


『……こういう時は嘘でも寂しいとか、言うもんですよ』


「嘘言われたいの？」


『言われたくないけど…』


「寂しくないだろ、すぐ会いに行くって言ったじゃん」




韓国と日本の距離、彼には本当に分かっているんだろうか。

距離なんて、何の障がいにもならないみたいで、すぐに会いにきて見せると言う彼。


その言葉は何だか本当にすぐに会いに行ける距離に感じてしまって、寂しく浸ってるのがアホらしく感じてきてしまう。



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