大好きな僕、大嫌いな君【歌い手】 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:3,492 hit

１％ページ1

｢A、こっち向いて｣

｢嫌だ｣

｢またぁ、ツンツンしちゃって｣

｢ツンツンなんてしてないし｣

ねぇってば、こっち見てよ、とうざったい程にアプローチしてくるのは、腐れ縁の幼馴染みだ。

うざったくて、なのに外面を知らない女性からは異常にモテて、無駄にイケボで人気があって。

メンヘラで、少し放っておくと死んでしまいそうなうさぎ系。

それでいて、

｢小さい頃はAも〝お兄ちゃん〟って呼んでくれてたのにな～？｣

などという過去の言動をさらっと会話に織り交ぜてくる憎たらしい奴だ。

｢お前がそらるさんの妹さんの着替えに偶然遭遇した所の動画、グループトークに送ってやろうか｣

｢それだけはやめてほしい｣

他にもあるのだ。

ベタだけど、小さい頃にアイスを落として泣き喚いている写真とか。

これらは全てまふまふ＿＿否、相川真冬の事が好きだからなどといった理由ではなく、ただ単純な好奇心だというのと、私が窮地に立たされた時の最後の切り札でもある。

＿＿＿私はコイツのことが嫌いだ。

名前を呼ばれるだけでも虫唾が走る。

3日姿を見せなかっただけで、｢心配した｣と5日はくっついて離してくれない。

私以外の女の子にも平気で手を振る。

彼は私だけのものにはならない。

だってだって、世界中にファンがいるから。