【鬼滅の刃】報われない女の子の話。【竈門炭治郎】

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皆でよもぎ餅を食べて、黙々と裁縫をする午後。

体調は頗る良いので何もしてないのは凄く違和感があり、先程アオイさんから裁縫仕事を承ってきた(正確には取ってきた)。

日が高く昇っている為、手元が見えやすいので縁側は裁縫するにはうってつけの素晴らしい場所である。


「A、Aッ」

『カナヲ』


トタタタ、と私の側まで走ってきたカナヲ。

その表情には嬉しさが滲み出ていた。


『どうしたの？』

「あの、あのね」


口をパクパクとさせて「あ、う」と言葉に詰まってるカナヲ。


『うん、落ち着いて。ちゃんと聞いてるよ』


裁縫道具を置いて、カナヲの手を握り目を真っ直ぐ見る。

カナヲは一度深呼吸をすると口を開いた。


「うん。あの、あのね」

『うん』

「さっき、炭治郎とお話が出来たの」

『…！凄いね。良かったじゃない！』


ヨシヨシと親友の頭を撫でる。

嬉しそうにスリッとするカナヲが可愛くてたまらない。


「あとね、もう一つあって」

『うん』

「炭治郎と、逢引に行く事になったの」

『……えっ』


逢引。

炭治郎とカナヲが。


『逢引…？』

「うん。その、明日非番だから、誘ったらいいよって」

『そう、なんだ。カナヲから誘ったの』

「うん」

『頑張ったね。凄いね』

「うん」


あれ、なんでだろう。


『…炭治郎は』

「？」


顔が、引き攣る…？


『嬉しそうだった？』

「分からない。でも、嫌そうじゃなかった」

『じゃあ大丈夫だね。楽しんでおいでね』



何だ、このモヤモヤは。






親友の恋愛が、一歩前進したんだ。





素直に喜ばないとなのに。









なんで、素直に喜べない私が居るんだろう？






何処かで時計の針の音がした。

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今更なんですが、誤字脱字・表記や記名間違いがありましたらコメントでそっと教えて欲しいです…。
気付かない事が多すぎて…。

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