第64話 ページ16
ロボロ視点
俺が突き刺したナイフは、反応の遅れた大人の脇腹に深く刺さった。
痛みで呻き声を上げた大人だが、すぐに俺の方を睨みつけ、拳を振り下ろす。
次にくる痛みに身構えたが、目の前で赤い血が飛び散った。
ゾムによって喉を切られたその大人は俺の横に倒れ込み、そのまま動かなくなった。
「ゾム！大丈夫？！」
「……すまんロボロ、油断したわ……。」
「あんま喋らん方がええ！それより手当て…。」
俺が手当てをする為に道具を取りに行こうとした時、ゾムが俺の腕を掴んだ。
「なぁ、ロボロ。ロボロはこの街を出た方がええ。」
「！な、なんで……。」
「さっきの光景、見たやろ？ここでは殴られ蹴られは日常的にあるんや。俺は、ロボロをこれ以上巻き込みたくない。」
俺の腕を掴むゾムの力は強く、そして手は震えていた。
声も弱々しい声になっていて、涙を押し殺しているようにも感じた。
「R国の他にすぐ近くに別の国もある。そこに行けば、子供を拾ってくれる奴が居ると思う。やから……」
「……ゾムを置いて、一人で出ていけるわけ無いやろ…。」
「……え？」
「俺を拾って助けてくれたんはゾムや。助けてくれた恩人を、置いていけるわけないやろ。」
俺はゾムの手を払い、急いで包帯や絆創膏を取りに行く。
傷だらけのゾムの顔や腕を手当し、包帯を巻いていく。
俺が手当てをしている間、ゾムは何も言葉を話そうとはしなかった。
ただ、俺が黙々と手当てをしていく様子を、ボーッと眺めていた。
―――――――――
「ホイ、手当て出来たで。」
包帯を巻き終わり、道具を片づける。
無言で腕に巻かれた包帯を眺めるゾムは、やはり何も返事を返してはくれなかった。
「なぁゾム。俺はな、どれだけゾムに出ていけって言われても出て行かんで。この家が俺の帰る場所やし、ゾムが居る場所が、俺の居場所や。」
俺はゾムの頭に自分の頭を合わせる。
コツンっと額が軽く当たる音がし、ゾムの体温が自身の額から感じ取れる。
何も返さないゾムに少し不安になるが、次の瞬間、ゾムがいきなりフッと笑い、頭をガツンっとぶつけてきた。
あまりに唐突な事に俺は驚き、ヒリヒリと痛む額を撫でた。
「いった！！何すんねん！！」
「いや、なんか変にしんみりした空気になってたからww」
「やからって大きな音なるくらい頭ぶつけんでもええやろ！？」
俺がそう怒ればゾムはクククっと嘲笑い、それにつられて俺も笑みが零れ、二人して部屋の中で笑った。
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闇ちょこ(プロフ) - 続編…全裸待機してますね((ネコ、カワイイ…カワイイ(洗脳済み猫派) (2021年2月13日 9時) (
レス) id: 4dd7927ea0 (このIDを非表示/違反報告)
新月singetu - 続編！！めっちゃ楽しみにしてます！ (2021年2月13日 8時) (レス) id: 040d4cbcc0 (このIDを非表示/違反報告)
ぷる - 続編ですか！楽しみです！ (2021年2月13日 3時) (レス) id: f025ecfe59 (このIDを非表示/違反報告)
恋漢(プロフ) - 初見ですが失礼します！！！いやもう簡潔で申し上げます(^^)........好きです！これからも更新頑張ってください！！めっちゃ応援してます！！ (2021年2月12日 0時) (レス) id: 6604cf1194 (このIDを非表示/違反報告)
らいらい - めっちゃ好きです！更新頑張って下さい！全裸待機してます(笑) (2021年2月11日 15時) (レス) id: f6115359b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオバナ@復元成功 | 作成日時：2021年2月7日 18時
